第0話 竜
[3/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
下界では大災害に等しいほどの衝撃が襲っていた。
秒針を刻む事に 街は揺れ、人間達の城の防壁には 大きな亀裂が入る。
天は怯えているような…、或いは怒り狂っているかのような…、それを現す為に 雷を大地に降り注いでいる。そして、ある山では大噴火が起き、その降り注ぐ火山岩、そして吹き出す溶岩は辺りを燃やし尽くす。
「これは……」
1人の男が、荒野の空を見上げていた。その視線の更にさき、その場所に霊峰がある。
「また……、1つの時代が終わるというのか……」
天災が猛威を振るう中で、確かに何かを感じ取ったのか、そう呟いた。
「あれは、絶対的な存在。 今、抗う事は不可能なんだ。 ……彼らが止めないというなら、 また……長い旅が始まる……」
その男は嘆いていた。彼ら人間達を助けてやりたい。せめて、あの2頭の争いの影響が少ない場所へ、この災害の正体は恐らく、絶対的存在たちの争いだと言う事は直ぐに理解出来た。
以前聞いたときは戸惑った。
あの存在が攻撃を仕掛けたとき、もう一体がそれを防いでいた。
この目でその瞬間を見た。
「クズとしか思ってない人間を救う。 ……そんなことあるのかと思ったけど…。 まあ 僕もいえないけど」
この男は命などかけらも想っちゃいなかったが命の尊さを知った。それが…彼らの身に起きても不思議ではない…。
「ありえない事はありえない… 信じ固くともそれはありえる事実…… か……」
そして、人間達の街から背を向ける。
「願わくば…。 あの争いに……巻き込まれない事を願うよ。 僕は……また会えなかった。この時代でも、会えなかった」
そう言うと、歩き出した。
「この時代でも……会えなかったんだ………」
そして、男は 空を再び見上げた。今思う感情を込めて呟く。
「会いたいよ…会いたい…」
その男が一歩、また一歩 歩くたびに……、彼の傍の生物達が、いや 自然も死滅していく。
これは呪い。アンクセラム神の摂理に抗ったが故にかけられた、死ねぬ呪い。
「ナツ………」
下界が恐怖している事に 勿論気づいている。
『(これ以上は…駄目だな)』
そう悟ると、殺気と怒気を止めた。視線も反らせた。
『なんだ… 気が変わった…ということか?』
離れていく姿を見て 黒竜はそう聞いていた。
『違うな……、オレはこんな事をする為に、ここに来たわけではない。オレ達の争い。それは 世
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ