第二百三十二話 本能寺においてその十一
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「なっています」
「そうじゃな、よき場所になってきておる」
「栄えて」
「そうじゃな、あと大坂の城じゃが」
「巨大ですな」
「あの城の周りに店も人も集まり」
「よい感じになっていますな」
こう利休に話す、そして。
そうした話をしつつだ、道安は言うのだった。
「大坂が栄えていますと」
「堺はか」
「それに飲み込まれる気もしますが」
「只でさえ神戸も開かれましたし」
「うかうかとは出来ぬな」
「はい、繁栄が他にです」
その大坂や神戸にというのだ。
「いきますので」
「油断しておるとな」
「追い抜かれもしますな」
「うむ、商いも戦じゃ」
「銭を儲ける戦ですな」
「それを忘れてはならぬな」
「上様は勘合貿易と南蛮貿易双方をされています」
そのどちらもというのだ。
「だからな」
「そのどちらも励み」
「銭を稼がねばな」
「左様ですな」
「そしてどうやら上様は海に出られてじゃ」
「海に」
「そのうえで南の島々を領地にされたいらしい」
このことだ、利休は道安に話した。
「そのおつもりとのことじゃ」
「それは」
「はじめて聞いたな」
「はい」
その通りだとだ、道安は父に答えた。
「今聞きました」
「しかしな」
「上様はですか」
「その様にお考えじゃ」
まさにというのだ。
「天下を統一され幕府を開かれ太政大臣になられ」
「そのうえで」
「天下が力をつけたならな」
「南方に進まれますか」
「聞いたことがあるな、琉球の南にさらにな」
「多くの島がありますな、特に」
ここで道安はこの島の名前を出した。
「明の南に特に大きな島があるとか」
「南蛮人が見付けたな」
「それで南蛮人が住みはじめている」
「その島もありエスパニアの者達が住んでいるな」
「そうした島もあるそうですな」
「特にその明の南にある島じゃ」
その島だというのだ。
「上様はそこをまず手に入れるおつもりじゃ」
「そうなのですか」
「あの島は確かに南蛮人がおるが」
それでもというのだ。
「まだ主がおらぬと言っていい」
「明の方もですか」
「明はあの島を知っていてもな」
それでもというのだ。
「関心を示しておられぬ」
「そういえば明は境の考えがはっきりしてますな」
「そうであろう、北は長城まででな」
「そして南はな」
「南越までで」
「島はどれも領地と思っておらぬ」
それでというのだ。
「あの島も領地と考えておらぬ」
「だからですな」
「あの島は手に入れることが出来る」
日本がというのだ。
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