孤独を歌う者 1
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せる為に、アリアを利用してたのか」
「厳密に言えば生き返りとは違う。『生まれ変わり』のほうが表現としては的確か。元々、アリアがマリアから受け継いだ『退魔』と『治癒』の力は神々が彼に授けていた祝福だ。彼に返すのは当然だろう?」
「だから、実の娘を孕ませるってか? アホかお前。生まれ変わり? バカ言ってんじゃねぇよ。死んだヤツは何をどうしたって二度と戻ってこない。力を渡そうが、記憶を受け継ごうが、産まれてくる子供は別人だ。お前らがどんな関係かは知らないが、諦めろ。ソイツは絶対に戻らない」
金色の髪を撫でる手が、ピタッと止まる。
「アルフリードは俺の敵だ。俺が殺した」
「は?」
横顔から笑みが消えた。
立ち上がったベゼドラと幼女と金色の何かが、警戒して身構える。
……やめとけって。
私でも判ったってのに、まだ解んないのか?
そんな態度を取るから攻撃してくるんだぞ、コイツ。
「自分で殺しておいて呼び戻そうとしてんのかよ。勝手なヤツだな」
「お前達が見てきた世界に、『勝手ではない者』は、一人でも居たか?」
「…………いねぇな」
クロスツェルも、ベゼドラも。
小さいアリアを神殿に放置したらしい母親とかいうヤツも。
最低最悪な形で実の娘を利用したがってるバカ親父も。
アリアも、アリアが作った宗教団体の信徒達も。
この私も。
どこをどう見たって、結局は自分勝手なヤツばっかりだ。
「けどな。我を張るにしたって、踏み越えちゃいけない、絶対に守らなきゃいけない、最低限の境界線ってモンがあるだろうが。子供じゃあるまいし、誰かが勝手にしてるから、自分も勝手にして良いんだ! とか、思うなよ」
(お前もよく聴け、アリア。皆が互いに支え合う優しい世界、だったか? 解らなくもねぇよ、そういうの。私だってクロスツェルに拾われたおかげでどれだけ救われたか。でもさ)
「自分が我を通せばその分誰かが傷付く。苦しむんだ。それでも譲れないと思うなら、相応の覚悟と責任を負わなきゃいけない」
殺したら死ぬ。
生き返らない。
取り返しがつかない。
死んだヤツとは、もう二度と会えないし。
ソイツから続く筈だった後世の命も全部、消えちまう。
ソイツを大切にしてた関係者達も苦しむ。哀しむ。
それこそ殺意を抱いて、憎む。
殺したら、その全部を背負わなきゃいけない。
忘れることも投げ出すことも、当然逃げ出すことなんかしちゃいけない。
殺した事実は、罪を償おうと何をしようと、絶対に。
なかったことにはできないんだ。
「逆に言えば!」
(何が正しくて間違ってるかなんて難しくて
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