暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者 1
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他人から物を奪い取ってきたクチだ。偉そうに言える立場じゃない。けどな。自我を持った時点で私はもう私のもんだ! お前らにタダでくれてやる部分なんざ、欠片も持ち合わせてねぇんだよ! 欲しかったら欲しいなりの相応しい態度ってもんを見せろ! とりあえず、てめぇは今後私が死ぬまで私に触るな! 声を掛ける程度は許してやる!」
「嫌だ」

 ぷぃっ じゃねぇ! 子供か!
 本当、お前だけは反省しないな。
 最低最悪の実行犯め!

「……アリア? ロザリア?」

 玉座の隣の椅子で寝てた……猫耳? 何故猫耳? の子供が。
 「にゃー」とか鳴く得体の知れないもんを抱えて立ち上がり、私を見る。

 これは、なんだ?
 薄着の女に似てる気もするが、まさか。

「アリアはまだ、鬱陶しく泣いてるけど……」
「そう。貴女は、ロザリアなのね」

 くしゃっと顔を歪め。
 抱えてる何かを離して、私の目の前に空間移動してきたかと思ったら。
 両腕を首に巻きつける格好で飛びかかられた。

 重っ!

「やっと、やっと会えた! 私の娘……!」

 やっぱりか。
 やっぱり、母親とかいうヤツなのか。
 ちょっとこう……外見的に、いろいろ突っ込みたい!

 あとその、近寄ってきて「にゃあ」って鳴いてるヤツ、本当に何なの?
 牙とか、微妙に怖いんだけど!?

「アリア……!」

 薄着の女が、女神より少しだけ私に近い位置で半身を起こし。
 掠れた声でアリアの名前を呼んだ。

 ちょっと待て、この状況。
 母親が二人も居る?
 いや、私も似た状況にはなってるが。
 一人はともかく、もう一人はどう見ても幼女なんだけど。
 なに、この変な絵面。

「……ぷ……っ……くくく……」

 玉座の肘掛けに座ってるレゾネクトが。
 右手で体を支えながら、左手を口元に当てて、両肩を震わせてる。

「く……っは! あっはははははは!!」

 ……コイツ。
 そういえば前にもこうやって笑ってたな。
 印象としては、嫌みな薄ら笑いのが強いけど。
 もしかして、笑い上戸とかじゃないのか?

「……っ!」

 幼女が私にサッと背中を向けて、両腕を精一杯広げる。

 夫婦仲最悪なのか?
 庇うにしても、『空間』を使う相手にそれは意味がないだろ。

「やはり面白いな、ロザリア。お前はどこか、アルフリードに似ている」
「知るか。誰だよ、アルフリードって」
「彼だよ」

 体をひねったレゾネクトの左手が、玉座に座ってる男の髪を撫でる。

 死体、だよな?
 階段の下のほうに座ってる男と女の二人組も。
 起きやがれ! っつってばらまいた私の力に、全然反応しなかったし。

「要は、ソイツを生き返ら
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