暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
孤独を歌う者
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カ男みたいな事を本気で思いながら叫んでる。
 くだらない。
 本当にくだらない。
 「確認するぞレゾネクト。お前はアリアの……私の父親ってヤツで、床に転がってる薄着の女が母親なんだな?」
 「ああ。そうだ」
 細長い指先が俯く私の顎の輪郭をするりとなぞる。
 「……そうか。分かった。」
 気持ち悪い手だ。クロスツェルの教会で馴れ馴れしく肩を抱いてきやがった腕と同じ。
 心底……本当に……くだらない!
 「……お前ら………………マジでいい加減にしやがれ!! ロクデナシの腐れ外道共があああぁぁああッ!!」
 レゾネクトの腕を全力で払い除け、睨み付けながら飛び下りて距離を置いた。
 翼を全開にして、薄緑色に光る室内を更に明るく照らす。
 「どいつもこいつもどいつもこいつもッ! 私もアリアも道具じゃねぇ! 飾って楽しむ人形じゃねぇんだ! 自分の意思を持って、自分の考えを持って、自分の願いを持ってる一個人なんだよ! そんなに欲しけりゃまずは身勝手な欲望を一方的に押し付ける考え方を改めてから、顔を洗って出直して来い! 出直して来たってガキなんざ誰相手でも絶対に産まねーけどな! お前ら全員ぶつ切られてしまえッ!!」
 「……さすがに其処まで言われると、ちょっと怖いです ロザリア……」
 時間を止めていたクロスツェルの体が すぅ……と目蓋を開いて、ゆっくり立ち上がる。
 離れた所で片膝を突いてる女神が、ぎょっと目を丸くした。
 「怖い? 知るか! 嫌ならてめぇの行動をよぉーく思い返して誠心誠意私に償え! お前は生きてる限り毎日往復平手打ち千発と、死ぬまで炊事係で勘弁してやる! ただし! 体調不良での欠勤は認めんッ!!」
 「貴女の手のほうが辛そうですけどね。謹んでお受けしましょう」
 くすくす笑ってんじゃねぇよ! 腹立つ!
 「欲しいもんを欲しいと言って何が悪い」
 ベゼドラがムスッとした顔で起き上がるのを見て何かに気付いたのか、女神も一つ頷いて立ち上がる。
 「悪くねぇよ。私だって他人から物を奪ってきた口だ。偉そうに言える立場じゃない。けどな! 私はもう、私のもんだ! お前らにただでくれてやる部分なんざ欠片も持ち合わせてねぇんだよ! 欲しかったら欲しいなりの相応しい態度ってもんを見せろ! とりあえずてめぇは私が死ぬまで一切私に触るな! 声を掛ける程度は許してやる!」
 「嫌だ」
 ぷぃっ じゃねぇ! 子供か! 本当お前だけは反省しないな。最低最悪の実行犯が!
 「……アリア? ロザリア?」
 玉座の隣の椅子に寝てた……猫耳? 何故猫耳? の子供が、 にゃーとか鳴く得体の知れないもんを抱えて立ち上がり、私を見る。
 ……これはなんだ。
 薄着の女に似てる気もするが、まさか?
 「アリアはまだ鬱陶しく泣いてるけど……」

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