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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
episode3:掛かったなHがッ!
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なるような音が響いた。
 金属質なるその音の発生源は、逃げ遅れた方の妖怪だ。全身を呪詛が縛り付け、その肉体を削り取っていく。
 不意に、陰陽の描かれた陣が広がった。霊夢ではない。この霊力の持ち主は──

「……ら……ん……?」

 紛れも無く、八雲紫の式。九尾の狐である、八雲藍のモノだ。では何故今それが存在する?藍が居るのか?いや、それはないだろう。藍ならば今の隙に加えて数十は術を放つ。これは藍の力というだけで、藍が使ったモノではない。

 ──私?

 まさか、幾度か修行を共にしただけで藍の力が使えるようになるとでも?それこそ有り得ない。よっぽどの霊力と努力が無ければここまでの術式は──

「まさか……能力?」

 残された可能性とすれば、能力だ。驕るつもりはないが、もしこの世界が私のよく知る『東方二次創作』──つまりは、『幻想入り』なのだとしたら。
 ──もし、私がその『主人公』だったのだとしたら。

 途端、脳裏の全てが繋がった。

「接続開始。」

 ──この力が、『主人公補正の産物』なのだとしたら。
              頭に、数多の情報が流れ込んでくる。最強の妖獣が持つ、ありとあらゆる術式が頭に叩き込まれる。

「深層原理、同調。」

 ──私には、何らかの役目があるのかもしれない。私は決して、主人公に向いた性格ではないけれど。
              魂が変質する。『半神』のそれから、『妖獣』のそれへと。

「肉体の上書きを開始。成功」

 ──こんなちっぽけな私にも、役目があるのなら。
              全身に力が溢れる。まるで、自分のもので無くなってしまったかのように。

「──能力憑依『式神を操る程度の能力』」


 私は、やってみたいと思う。
              そして私は、力を手にした。










 □ □ □ □ □ □











「──これは……!」

 八雲藍という式神は、すぐにその異変に気が付いた。
 つい先程下された決定。『この異変には手を出すな。』──そんな主の命令に従い、待機していた藍に、不意に何かが繋がったのだ。

 危害を加えるモノではない。むしろ、自分に対して親愛の気すら存在している。そしてこの『神気』を、藍は知っている。

「……ヒメノ、か」

 紫の命により、数週間の間共に過ごした彼女と全く同じ性質の力だ。相変わらず人懐っこく、気楽な思いが流れ込んでくる。

「──良いだろう。少しだけ、貸してやる」

 側から見れば得体の知れない不気味な力だ。だが、ヒメノの性質がそれを和らげている。恐らく、彼女だからこそこの力は真価
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