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東方乖離譚 ─『The infinity Eden』─
episode3:掛かったなHがッ!
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ている。恐らくは霊夢がやってくれたのだろう。結界の外の破壊跡からは、恐らく魔理沙が妖怪達を追い払ったのだと推測される。さっきの爆音は魔理沙のものだったようだ。人騒がせな、後で頭突きをくれてやらねばならない。
──と、街の中に異形の姿を発見した。間違いない、妖怪だ。既に中に侵入していた者もいたのか。
兎に角、今は行方不明という少年が気掛かりだ。探さなければ。
慧音は、持てる速さの全てを尽くして、人里の空を舞った。
□ □ □ □
──アカンッ!?
「あっぶなぁっ!」
「うわぁっ!」
危機一髪。まだ逃げ遅れが居たとは……迂闊だった。
恐らく人々が集まっているであろう避難所へ向かっていると、子供の泣き声が聞こえたのだ。何事かとその元へ向かってみれば、今まさに小さな男の子が妖怪の爪に裂かれようとしていた。
何とか寸前に飛び込んで少年を突き飛ばし、自分もその勢いで避ける事が出来たが、肩を浅く裂かれてしまった。痛い。めっちゃ痛い。
「ひっ……だ、誰……?」
「話は後!立って、逃げるよ!」
少年の脇に手を回し、持ち上げて無理矢理立たせる。そこで少年の足首に浅い切り傷があるのを見つけ、それが腱を傷付けている事も理解した。
「仕方ない……ちょっと、我慢してね!」
「わっ!」
少年を担ぎ上げ、背負う。背後から飛び掛かってきた妖怪に退魔の札を叩きつけ、走り出した。
「って、うっそぉ!?」
──効いてない……だと……!?
今のは末端とはいえ、霊夢の力が封じられた札の筈だ。いくら札に込められる力に制限があるとはいえ、それに耐えるとは思わなかった。よほど頑丈な妖怪らしい。
よくよく見れば妖怪の全身は岩のような表皮に覆われている。札の直撃部分が黒焦げているが、ダメージが入った様子は無い。成る程、周囲の物質を体に纏って身を守るタイプの妖怪か。それなら退魔の札の効果が薄いのも頷ける。周りの物質はあくまで自然のモノなのだ。
が、鈍いのは唯一の救いだ。
全力疾走とはいえ子供を背負った状態で距離は保てている。体に纏った岩は身を守る代わりに動きも制限される様だ。
このままなら逃げ切れる。避難所にさえ入ってしまえばこちらのものだ。
──まあ、あくまでも『このままなら』の話だが。
「お姉ちゃんっ!前っ!」
「へっ──?」
どちゅっ
──奇妙な音だ。まるで雨上がりの砂場に溜まった泥水に、刃を突き刺したような。ぐちゃぐちゃの大地に剣を穿ったような。
そんな、音。
途端、脇腹から想像を絶する痛みが走る。
「──ぅ………そ──で……ょ……?」
体に力が入らない
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