番外編・弟と別れてから
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かったぁ……
「比叡? シュウくんとの思い出、もっと聞かせてくだサイ」
抱きしめている腕の力を抜き、私の肩に手をかけてお姉様がそう言った。
「シュウくんとの思い出をもっと聞きたいデス。楽しかったシュウくんとの日々を、スマイルで一杯話すといいデス。そうすれば、シュウくんもきっと喜ぶネ!」
笑顔でそう話すお姉様の表情は、どことなくシュウくんの屈託のない笑顔に似ていた。私の弟は、知らないうちに金剛お姉さまにも似ていたらしい。お姉様、長くなりますよ?
「比叡もワタシの妹デスからね。ドンとこいデース。それに、比叡の弟なら私の弟でもありマース。弟の話はワタシも聞きたいネ!」
お姉様の優しさが胸を打つ。ありがとうございます。お姉様のおかげで、シュウくんとの出会いが悲しい思い出にならなくて済みそうです。でもお姉様、シュウくんは私の弟です。いくらお姉様でも、そこは譲れません。
「OH……そーりーね比叡。でもヤキモチをやくとは……比叡はカワイイお姉ちゃんデース」
「違います!」
「……で、弟は、どんな子なんデスか?」
「はい! 男の子なのに言葉遣いがちょっと柔らかくて……でも時々男っぽいしゃべり方して……いつもお風呂あがりの私に“コラー!!”って怒ってくれて……」
「比叡のお風呂あがりはセクシーですからネー」
「いつも私の隣にいて……私といると笑ってくれて……私のことをいつも気にかけてくれて……」
「素敵な弟デース。とってもいい子が弟で羨ましいデス」
「向こうでレ級と戦った時も……そのバットで助けてくれました……とても強くて頼りがいがあって……」
「比叡を助けられるぐらい、シュウくんは強い子なんデスネ」
「そのバットをくれて……とても優しくて……でも辛いことがあるといつも泣くのを我慢して……私が抱きしめて……ひぐっ……頭を撫でてあげないといけなくて……」
「さっきの比叡にそっくりデス。シュウくんにいろんなものを一杯もらったみたいデスね」
「はい。いっぱいもらいました。ひぐっ……大切な思い出を……大切な気持ちを、いっぱいもらいました」
話していたら涙が溜まってくる。いけない。これではシュウくんに笑われる。泣いてるとこなんか見せたことないのに……『姉ちゃんは泣き虫だなぁ〜』って笑われる。
「比叡?」
「はい!」
金剛お姉さまは、泣いてる私に向かって、自身の広角を両手で持ち上げ、ニッコリと笑った。
「すまーいる!」
「ひぐっ……はい! お姉様!! ひぐっ……すまーいる!」
その夜は、ずっと金剛お姉様に抱きしめられ、シュウくんの話を聞いてもらった。金剛お姉様は、時に興味深く、時にクスクスと笑い、時に楽しそうに、時に驚いて、ずっとシュウくんの話を聞いてくれていた。
「……そ
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