番外編・弟と別れてから
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しまう。鼻がつまり、鼻声になってしまう。
―好きなんだよ!! 姉ちゃんのことが好きなの!! だから帰らないでよ!!
私も好きだよシュウくん……
「会いたいよ……また会いたいよシュウくん……」
会いたい。またシュウくんに会いたい。今また泣くのを我慢しているかもしれないシュウくんに会って、思い切り抱きしめてあげたい。無理してないかな……大丈夫かな……ちゃんと泣けてるかな……
「会いたいよぉ……シュウくん……声を聞かせて……抱きしめさせてシュウくん……」
「……」
思い出の中のシュウくんの輝きが増した。私にバットをくれた。ヒーローと言ってくれた。お風呂あがりの私に怒ってくれた。レ級との戦いの時に助けに来てくれた。そして、いつも私の隣にいて笑ってくれていた。
「会いたいですお姉さまぁ……私、ひぐっ……またシュウくんに会って、お風呂あがりに怒られたいです……私の隣で笑って欲しいです……ひぐっ……お姉様……シュウくんに会いたいです…!!」
「ずっとこうしててあげマス。だから好きなだけ泣いていいデスよ?」
金剛お姉様は、さらに力を込めて私を抱きしめてくれた。奇しくも、私がシュウくんにしてあげたことと同じことを、今度は金剛お姉様が私にしてくれた。涙が止まらない。気持ちが溢れて声になってしまうのを抑えられない。私は金剛お姉さまに抱きしめられながら、何度も何度もシュウくんの名を呼び、思い出の中のシュウくんの姿を追いかけた。
フと、涙で滲んだ視界の中に、別れ間際の泣き叫ぶシュウくんの姿が見えた。私は一人で叫び続けるシュウくんを抱きしめてあげたくて、シュウくんに手を伸ばす。
『ね゛え゛ぢゃぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!』
「シュウくん……今行くから。お姉ちゃんが抱きしめてあげるから……!!」
私とシュウくんの心をザクザクと傷つけていく彼の声を止めてあげたくて、私は必死に涙で滲んだシュウくんの姿に手を伸ばす。でもあと数センチ伸ばせば触れられる距離まで来た時、シュウくんの姿は消えた。
「シュウくん……シュウくん……」
シュウくんごめん……そばに居てあげられなくてごめん。一番つらい時に、抱きしめてあげられなくてごめん。
「お姉様……」
「ハイ」
「別れ際……シュウくんは泣いてました。私を探して、泣き叫んでいました」
「……」
「今は大丈夫でしょうか……泣くのを我慢してないでしょうか……私の好きな笑顔を見せてくれているでしょうか……?」
「大丈夫デス。私が大好きな比叡の弟なら、今は泣いていても、そのうち笑顔で比叡を思い出せる日が来マス」
その言葉を聞いて、私は一抹の寂しさと、それ以上の大きな安心が全身に満ちていくのを感じた。そっか……なら、よ
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