11.姉ちゃんが消えてから
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かった……とりあえず任せろ。轟沈は出さん」
「ありがとう岸田」
戸惑いながらも、岸田は僕にそう答えてくれた。岸田。姉ちゃんは任せた。姉ちゃん。岸田なら大丈夫。たとえどんなに大変な戦いでも、姉ちゃんたちが死ぬことは絶対にないから……。
退院してからのことを少しだけ話そうと思う。秦野はアンサンブルコンテストで金賞を受賞した。なんでも、僕が吹奏楽部を離れた後、毎日猛練習をしていたそうだ。放課後に神社で会う約束をした時、誇らしげに賞状を見せてくれた。
「先輩先輩、ほめてくださいよ」
「わーすごいねーおめでとう秦野ー」
「棒読みの罰としてお祝いはキャラメル30個でいいですよ超絶鈍感クソ野郎」
「……お前、ほんっと僕のこと先輩だと思ってないよね」
「なんせ超絶鈍感クソ野郎ですからね」
一体なぜそこまで罵倒されなきゃいけないのだろう……
「私ももう言いたくないんですよ。いい加減気付いてください」
岸田は先日、比叡姉ちゃんに“ケッコンカッコカリ”の指輪を渡そうとしたら拒否されたと言っていた。通常、比叡は『私の心はお姉さまに……』と言いながらも、システム上はケッコンカッコカリが成立するらしいのだが……
―すみません司令。弟が幸せになるまでは、とてもそんな気持ちには……
「とか言いながら断りやがるんだよチクショォオオ!! NTRかッ?!! これはある意味NTRなのかッ?!!」
と血の涙を流しながら話していた。なんでもケッコンカッコカリが成立せず、姉ちゃんに指輪のアイテムを装備させることも出来ず、その指輪も消費すらされないらしい。ざまーみろ。姉ちゃんとケッコンするなどおこがましい。お前にはフェイトそんがいるだろう。
「……まぁいい。それが比叡たんの決断というのなら、提督としては応援するしかないだろう」
こいつは突然こういうイケメンなことを口走りやがるから困る……カッコイイなぁちくしょう……。
「それにおれには叢雲たんや金剛ちゃん、暁やビス子もいるからな。他にも……」
前言は撤回する。サイテーだ。こいつはサイテーだ。いやゲームだから別にいいんだけど。
父さんと母さんは、姉ちゃんが来る前と変わらない毎日を過ごしている。ただ、やっぱり時々二人とも姉ちゃんのことを懐かしがることがあるようで……
「比叡ちゃんだったら、ご飯も大盛りで食べるのよねぇ〜…懐かしいわ〜…」
「たまには目玉焼き食いたいな〜。あのメタリックブルーなやつ……あー緑色の味噌汁飲みてぇ〜……」
と言っている。母さんの郷愁はなんとなく分かるけど、父さん……それは本気で言っているのか……?
「比叡ちゃん、ちゃんとご飯食べてるかしら……」
大丈夫だよ母さん。姉ちゃんは、岸田の鎮守府で元気にや
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