ハイスクールD×D 万の瞳に映るもの
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ぎるぐらいの、眼を起点とする力さえも得てしまった」
覆っていた手を退けると、瞳に十字架が浮かび上がっている。
「ソーナの肩をも砕ける力」
続いて先ほどの赤い眼
「すべての呪力を見通し操作する力」
そして先ほどの怪我を治した暗い翡翠色の瞳
「見るものを癒す、汚れし力」
様々な色や形に変化し続ける、まるで万華鏡のような修の魔眼。
「僕の想いが強すぎた結果が、この魔眼群。普通の眼は一つもない。ただ、そこにあるものを見たかっただけなのに。見たものを表現したかっただけなのに!!」
そう言って再び顔を覆ってしまった。だが、鍵は見つかった。
「修、その魔眼で私を見ましたよね」
「……ああ」
「彫刻、掘って下さい。私の」
「なぜだ?」
「いいから、いつも通りに。アトリエは残っているのでしょう?」
「一応な」
「作れば、私が言いたいことがわかるはずです」
ソーナに言われるままアトリエに向かい、言われたままにソーナの彫刻を彫り始める。いつも通り、10年前からつけている目隠しをして、彫る前に対象物に触れて形を覚え、彫り始めて気付く。今までのように彫れない。今まで以上に彫れてしまう。途中で腕が止まる。
「私が言いたいことはわかりましたか?」
「……ああ。だが、それでも僕は」
「なら、私が言葉にしてちゃんと刻み込んであげます。修、例え魔眼であろうとも、その眼には世界が映っています。世界は貴方を否定していない。ただ貴方が閉ざしただけ。世界は貴方を受け入れてくれている」
「……逃げていたのは僕自身か」
目隠しを外し、眼を開く。開く魔眼は鷹の目。ただ単に遠い所の物も見えるようになるだけの害は無い魔眼だ。
「この世に生を受けて、初めて見た世界に僕は感動を覚えた。そして初めて見た母のその顔が恐怖と嫌悪であることを知って、その感動を忘れてしまっていた。忘れていた、感情とは喜怒哀楽で無限の存在。それを芸術で表現する僕が一番それを理解していなかった」
彫りかけだった物を壊して新しく材料を取り出す。
「ソーナ、もう一度作り直す。今度はこの眼で、僕の最初で最後の眼で見て作る彫刻だ」
「今までの作風を守るためですか?」
「いや、けじめだ。盲目の芸術家、syuはこれで死ぬ。そして新たな、魔眼持ちの芸術家、酒井修が生まれるだけだ」
「そうですか。なら、これが最後を飾る作品ですか」
「そうだ。芸術家の思い(怨念)が詰まった傑作だ」
話しながらも手を休めることなく動かし、魔眼に映るソーナを作品として作り上げる。それをソーナに渡すと同時に万華鏡写輪眼で意識を奪う。
「不意打ちですまん」
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