ハイスクールD×D 万の瞳に映るもの
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れだけ時間が経ったのか分からないが、我慢比べは私が勝ったようだ。修がため息をつく。
「もういい。あとはセラフォルー様だけだ。不意打ちで書き換えてソーナは放置する」
「ダメです。逃がしません。修が諦めるまでこのままです。覚悟がない修には絶対に負けません」
「……僕に覚悟がないと思うな!!」
そう言って、修は私の右肩に手を置き、骨を握りつぶす。あげそうになる悲鳴をかみ殺していると今度は左肩を握りつぶされる。抱きついていた腕に力を入れれなくなる。このままでは引き剥がされると思い、服に噛み付く。
「ソーナ、お前……」
「ぜっひゃいに、はなひまひぇん」
「…………ちっ、僕の負けだ。記憶はこれ以上書き換えない。肩の治療をするから離れろ。こいつは視界に入れないと効果がないんだよ。僕の今までの人生に賭ける」
「……きぇいやきゅでぇしばりましゅ」
「構わない」
素早く意思同意のみの簡易的な契約を結んで少しだけ離れる。もしかしたらこれだけでは抜けられるかもしれない。だけど、今までの人生にかけると言った修を信じたい。
「こいつは、時間がかかる。フェニックスの涙のような即効性はない」
今度は瞳が暗い翡翠のような色になっている。それと同時に少しずつ肩の痛みが引いていく。確かに即効性はないようだが、それでも悪魔を治療できる魔眼は初めて聞く。また無言が続き、私の肩が完全に癒えたところで修は壁を背にして座り込み、手で顔を覆い隠す。そこに居たのは今まで見たこともないぐらいに、それこそお姉さまに引き取られた頃よりも弱り切った修だった。
「修、話してもらえませんか。貴方が、いえ、貴方の……」
何を聞けばいいのだろう。魔眼のことか?お姉さまに拾われる前のこと?これからどうするのか?違う、もっと根本的な所を聞かなければならない。ならば、何を聞けばいい?何かがあるはずだ。この10年の記憶を思い出せ、今ここで引き留められる何かを掴まなければ何処かへ行ってしまう。一刻も早く修の心を開く鍵を見つけなければ。もっとも本音が出やすいのは喜怒哀楽が激しい時、つまりは先ほどだ。あの時修が言った言葉で鍵になりそうなものは、あった!!
「また世界は僕から光を奪うのか、とはどういう意味ですか」
その言葉に修の肩が少しだけ揺れる。
「貴方は望んで魔眼を、光を手放していたはず。自ら手放し、自ら命を絶とうとしても『また』にはならないはず」
「…………ふぅ〜、ただの戯言だ。僕には前世の記憶がある。前世では魔眼がないだけで今と変わらない。ただ、生まれつき全盲だった。そして、何かの拍子に死に、声に導かれるまま強く願った。眼が、世界を捉えられる眼が欲しかった。ただ見えるだけで良かったんだ。だが、僕は魔眼を得てしまった。それも多す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ