原作開始前
EP.4 模擬戦 VS 妖精の尻尾
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ワタル達が妖精の尻尾に加入した翌日の朝。
場所はギルド前、ワタルは屈伸をしながらグレイと相対していた。
昨日約束した通り、今日はグレイと模擬戦を行う日。周りにはギルドの面々が立っており、双方に野次を飛ばしていた。
ワタルの耳に入ってきた中では勝敗の結果を対象とした賭け事も行われているようだが、それが酒の一杯や昼食代程度の金額でも金を賭ければ盛り上がるというのが健常な集団というもの。彼はさほど気にしていなかった。
「エルザ以外と戦うのは久しぶりだな……」
肩を回して関節をほぐしているワタルに対して、あからさまな敵意を向ける者は昨日と比べればめっきり減っていた。
もとより星族がフィオーレ王国内で活動していた訳でもないために家族や知り合いを殺されたものがいる訳でもなく、ギルドの大人たちがワタルに向けていた視線は嫌悪というより警戒のそれだった。
ギルドの仲間は家族であるという強固な絆で結ばれている彼らは親であるマカロフの言葉を疑わず、ワタルに対する警戒を解いたという訳だ。
信用は自分で勝ち取ると決意したばかりだというのに、なんだかなあ、と思いながら、野次の中に聞き慣れた声が混じっていることに気が付いたワタルはそちらに目をやる。
「負けるなワタル、そんな変態伸してしまえ!」
「変態言うな! ったく、あいつお前の連れだろ? 何とかしてくれよ」
「……服脱ぐ癖治した方がいいと思うぞ、俺も」
軽口を叩き、ガクッと凹むグレイを見ながら、ワタルは準備運動を終え、軽く頭を振って緩んだ思考を引き締めた。
「(エルザが見てるんだ。格好悪いところを見せる訳にはいかないな)」
「よし、じゃあ始めるぞ、新人!」
「いつでも」
「両者とも準備はよいな? では……始めぃ!」
グレイも立ち直ったようで、審判であるマカロフの号令とほぼ同時に腕を水平に上げて、上に向けた掌に拳を当てて魔力を練り上げた。
その魔力を感じ取ったワタルは、いつ走り出してもいいように足に魔力を集中させる。
「(来るか……前方、数4!)」
「まずは小手調べ……アイスメイク――“槍騎兵”!」
迫りくる氷の槍。数は予想通り4。軌道も想定の範囲内。ならば恐れる必要はない。
ワタルは足に集めた魔力を爆発させて一気に駆け出して、最小限に身体を捻って躱す。
「速い!?」
「『新人』じゃない……」
氷の槍の間をすり抜けるように駆け抜けたワタルはグレイの顔めがけ、拳を勢いよく繰り出す。
「『ワタル』、だ!」
「グッ……!」
挨拶代わりの拳をグレイは手で防御したが、スピードの乗った拳の衝撃を完全には殺せず、少し後ろに飛ばされることになった。
たたらを踏
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