原作開始前
EP.4 模擬戦 VS 妖精の尻尾
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通用するかよ!」
「……みたいだな。一発切の隠し芸みたいなもんだし」
そう言ってワタルは鎌の鎖に魔力を通すと、ギルドマークを描いて見せる。
「だが本当に通用しないかどうか――試してみるか?」
「面白ェ……やって見せろ!」
ワタルの挑発に乗ったラクサスは獰猛な笑みを浮かべた。
「じゃあ、お構いなく……っと!」
ワタルの右手から放たれた鎌は複雑な軌道を描いてラクサスに襲いかかる。
「もう一つ!」
左手からも一拍遅れて鎌が放たれ、ワタルは両手で鎖を後ろ手に持つことで鎌を操った。
ラクサスはそれを二つとも……躱さなかった。
鎌は2つともラクサスの左右にはずれたのだ。
「ハッ、どうした、外れた……ぞ……ッ!?」
そこでワタルの方を見た瞬間、ラクサスはハッと気づき、背筋を凍らせた。
鎌から延びる鎖が自分とワタルを囲む、一本道を型取っていることに……。
「遅い! “二掌魂威――」
鎖を手放し姿勢を低くして、両手を地面スレスレに這わせながら一本道を一気に駆けるワタル。
しかし……
「一歩足りなかったな!」
虚を突かれながらもラクサスはこれに対処。制御もそこそこに全方位に雷を放った。両手がラクサスに届く直前、ワタルは雷に飲まれてしまう。
ワタルを襲った電撃はラクサスが急いで出した分制御が甘く、余波で砂煙が辺りを覆った。
先のグレイとの戦いで見せた魔法解除もされた様子は無い。確実に決まったとラクサスは確信していた。
「!? いない、だと?」
しかし、砂煙が晴れた時、電撃をまともに浴びて倒れている筈のワタルの姿は無かった。
まさか電撃が強すぎて消し飛んだのか? いや、加減はできなかったがそんな威力ではなかった。ではなぜ……?
困惑からラクサスの頭の中でめまぐるしく疑問が渦巻く。
一歩分だけ背後に微かな足音が聞こえたのはそんな自問自答の最中だった。
「な」
「“双槍”!!」
「ガハアッ!!」
優れた聴覚がワタルの微かな足音を広い反応する事は出来た。
しかし対処できず、両掌によるワタル渾身の一撃を背中に受けてラクサスは派手に吹き飛んだ。
電撃に飲み込まれたのは二つの鎌でラクサスの注意を逸らした際にワタルが魔力で生成した変わり身。実体は無く、身体の表面だけを空間に映し出す幻影魔法の一種だ。
本物のワタルはラクサスが雷を打った瞬間に跳躍して頭上を飛び越え、魔力のみで造られた変わり身は雷で掻き消えていた。咄嗟に撃った強力な電撃の閃光でそれが見えなかったラクサスは背後に回ったワタルに気付く事ができず、不意を突かれた、という訳だ。
「いっつつ……。これで、どうだ?」
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