原作開始前
EP.4 模擬戦 VS 妖精の尻尾
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る事が出来る。
今からワタルが行おうとしているのはその先だ。
人体なら急所、建物なら大黒柱といったように構造的な弱点というものはどんなものにも存在する。それは魔法も同じ事。
感知した魔法に込められた魔力をエーテルナノレベルで解析する事でその魔法の構造的な弱所を見切る事ができれば、“魂威”による魔力で干渉し、構造を崩す事で魔法解除する事は理論上ではあるが可能だ。
「(俺はもっと先へ行ける!)」
例えるなら、魔法として具現化されたエーテルナノ構造を積木のパズルに見立てて、一つだけ積木を抜き取る事で崩すというもの。より強い力で強引に崩す事に比べて少ない魔力で魔法を打ち消す事ができるのだが、当然デメリットも存在する。
根本的な問題であるのだが、魔法の構造を解析する優れた感知能力と、その弱所を見切って魔力を流し込む――そんな事を放たれた魔法が着弾する前に行うなど、要求される精密さは針の穴を通すというレベルではない。
少なくとも、初見の魔法にそれができると思えるほどワタルは傲慢ではないつもりだし、挑戦した事も無い。
「魔力パターンは見切った」
だが、一度見た技なら話は別だ。
今グレイが放ったのはこの勝負の最初に放った氷の槍と同じもので、ワタルはそれを既に感知して構造もある程度把握している。一段階目はスキップしているも同然だ。
ならば、後は弱所を見切り、掌の魔力を撃ち込むのみ。
この、ごく短い瞬間の攻防で、己の限界を乗り越える……!
「ここだ!!」
前進スピードを緩めず、自分の魔力感を信じて、ワタルは真正面から槍の切っ先に魔力を込めた掌をぶつけた。
「な……!?」
無謀ともいえるその行為に、ワタルの手に穴が開くとグレイも観衆も息を飲んだ。
が、その予想を裏切って、槍はワタルの掌の皮を少し破っただけで、まるでガラスのように粉々になってしまった。片手の造形は不安定というが、グレイが行ったのは両手による造形。体に染み込むまで繰り返した師の教えを間違うはずがない。
咄嗟とはいえ完璧に造った魔法が正面から破られ、グレイは驚愕を通り越して呆気にとられてしまった。
「“魂威”!!」
「が、は……!?」
その隙を見逃すワタルではない。
魔法解除した方とは逆の手で、魔力を直接放出させる“魂威”が鋭い音と共にグレイの腹に炸裂、そのまま腕を振り抜いた。
苦悶の声と共に5mほど吹き飛んだグレイは手を地面に当ててもがいていたが、起き上がれずに仰向けになった。
「ぐ……イッテェ……。クソ、ホントに本気じゃなかったんだな」
「まあな……どうする? 続けるか?」
「……いや、やめとく。動けそうにない……参った、降参だ」
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