原作開始前
EP.4 模擬戦 VS 妖精の尻尾
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「ったく、勝者が締まらねぇな」
「う、るさい、この馬鹿力が。いっつつ……」
手首の様子を見るに、どうやら軽い捻挫で済み、折れてはいないようだった。
ラクサスに言い返しながらその事に安堵していると呻き声が聞こえたため、再びそちらに意識を向けると姿勢が少し変わっていた。
どうやら起き上がろうとして失敗したようだ。
勝敗を分けたのは手数の差だろう、とワタルは考えたのだが、それでも“魂威”を3発も――しかもそのうち2発は渾身の一撃を――喰らって口を開けるのだから、ラクサスのタフネスには呆れるしかなかった。
「……ああ、クソ……正直効いたぜ、ワタル」
「名前、覚えてたんだ」
「……次は負けねえ」
「そうか……俺もだ。次も勝てるかどうかは正直分からん」
「ハッ、ぬかしやがる……」
再戦の約束と、相手への賞賛を済ましたワタルが観客の方を向いた瞬間……
「ワタルー!」
見覚えのある赤い塊にタックルされた……左側から。
「あ」
ラクサスの重い蹴りをガードし、その上 “二掌魂威”にも使ったワタルの左腕の骨には……主観だがヒビが入っていた。
そこに、心配か、或いは興奮したエルザに勢いよく抱きつかれて……
ピシッ!
……嫌な音を立てて、完全に折れた。
「ッ、ウギャアアアアアア!!」
「え!? お、おい、大丈夫か!?」
左腕の骨折、全治一ヶ月。
家賃の事を考えると相当厳しいものになりそうだと、微妙なものを見るような目で見ているラクサスをよそに、激痛の中で他人事のように思った(現実逃避とも言う)ワタルであった。
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