原作開始前
EP.4 模擬戦 VS 妖精の尻尾
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んで少し痺れる腕を我慢しながら、グレイは賞賛を口にする。
「く……やるじゃん、新人……いや、ワタル!」
「今のは挨拶代わりだ。今度はこっちから行くぞ!」
「ハッ、来いよ!」
口角を上げて挑発するグレイに、ワタルは換装空間から鎖鎌を出すと片方を投げる。
「フンッ、行け!」
「武器か……なら、アイスメイク“盾”!」
それに対してグレイは氷の盾を生成し、防御。鎌を阻んだ。
鎖を魔力で操作する暇も無く現れた盾。その生成スピードに内心舌を巻きつつ、ワタルは鎖鎌から忍者刀に換装すると氷の盾の前まで走った。
そして次の瞬間、忍者刀の効果で上がった身体能力に任せて力強く地を蹴り、跳ぶ。
「な、どこに……!?」
グレイには盾にぶつからんばかりの勢いで迫ってきたワタルが突然消えたように見え、驚いて周りを見る。
「(右、いない! 左もいない! なら……)上か!? アイスメイ――ぐあっ!」
「いい反応だが、遅い!」
ワタルが氷の盾の上を跳んだ事に気付いたグレイ。
魔法を使おうとしたが少し遅く、ワタルの踵落としが肩に入って怯んでしまった。
「まだだ!」
膝を折って着地の衝撃を殺したワタルはその隙を見逃さず、立ち上がる勢いでグレイの腹を足の裏で蹴って吹き飛ばす。
「ぐ……なかなかやるな」
「いやいや。造形魔導士と戦ったのは初めてだが、なかなか素速いじゃないか」
「ハッ、そりゃどうも……それと『お前』じゃない。『グレイ』だ」
「……そうだな、グレイ」
少しよろめきながらも不敵な笑みのグレイ。対するワタルも、そうでなくてはと思わず好戦的な笑みを浮かべる。
そして、さきほどと似たような掛け合いに、両者ともその笑みを深めた。
そして……
「ハァアアアアアアアア!!」
「シッ!」
グレイは叫び、ワタルは短く息を吐きながら……合図をした訳では無いが同時に地を駆け、拳を合わせて互いの魔力をぶつけあった。
「(いつまで手を抜いているつもりなんだ、ワタルは……)」
一方、観客席のエルザは不満を抱いていた。
何度かワタルと模擬戦をしていたエルザは、グレイと殴り合いを演じている彼が本気でない事に、とっくに気づいていたのだ。
「なかなかやるな、あの新人」
「ああ、グレイはウチの期待のルーキーだ。それと互角なら……」
観客の真っただ中にいたエルザは、その声に反応し、苛立ちから声を張り上げた。
「互角なものか――こらワタル! いつまで手を抜いているつもりだ、本気でやれ!!」
観衆から響いたエルザの声に、ワタルは頭を掻く。
「あーあ、ばれちゃった」
「お前、本
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