二十四話:存在否定
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こせた…ッ! それなのに見捨てたッ!!」
「なのはちゃん達も失敗したらおとんよりも悪人になってしまうし。おとんの行動は正しいとは言えんかもしれんけど、間違いやないよ」
殺されかけた人間が殺そうとした人間を肯定する。
何とも奇怪な光景であるが、何故か酷く美しく見える光景。
それはまるで咎人が聖人に懺悔を行う一枚の絵画のようだった。
「私が言うのもなんやけど、今回は偶々上手くいっただけや。なのはちゃん達の方が無謀やったのは事実」
はやて本人から無謀だったと言われてしまい、気まずげな表情を見せるなのは達。
成り行きで物事が上手く運んだが、一歩間違えれば彼女達が大量殺人犯だったのだ。
だとしても、手が届くうちから諦めるのが正しいというのには疑問が残るが。
「それでも、助けてくれようとしてくれたのは、やっぱり嬉しくて。それだけで救われた気持ちになるんよ」
例え、結果的には希望などない絶望が訪れるのだとしても。
自分を助けるために必死になって手を差し伸べてくれる人がいる。
誰かが自分の為に本気で涙を流してくれる。それだけで、人によっては救いとなる。
決して自分は忘れ去られたわけでも、見捨てられたわけでもなく、必要とされていたのだと。
心に小さな救いが訪れる。それだけで十分なのだ。
「だから……誰かを救いたいという願いは決して―――間違いやない」
「………あ」
自身の願いを肯定されて切嗣の心の中には嬉しさと罪悪感が渦巻いていた。
間違いではなかったという嬉しさ。こんな碌でもない自分が肯定される皮肉。
どれだけ肯定されようともこの身に宿る罪が償われるわけではない。
「でも、僕は数え切れない犠牲をだしてきた。これが正しいはずがない……」
かつてなら正しいと言いきれたことにすら自信が持てなくなった。
大勢の為に小数を犠牲にするという当たり前のことすら、もうできる気がしない。
衛宮切嗣の理想は既に砕けてしまったのだから。
「僕は罰せられなければならない…っ。今までの全ての罪の清算をッ」
「おとん……意外と駄々っ子やな」
ほんの少し呆れたような顔をするはやて。
そんな場違いな表情に思わずほおが緩んでしまう切嗣。
しかし、すぐにその表情は凍り付くことになる。
「ええか、おとん。私は―――おとんを赦します」
「―――あ」
再び絶望の表情のぞかせる切嗣。罪を赦されたというのに寧ろ罰せられた方がマシだと願う。
そんな矛盾は彼がどこまでも人間的な心を持っているからだろう。
それを娘のはやてが気が付かないわけもない。
「おとんはなぁ、罰を受けることで―――楽になりたいんやろ?」
「ぼ、僕は……」
「自分の罪を償
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