二十四話:存在否定
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げて、これからもまた積み立てていき、盲目的に理想という太陽に近づいていっただろう。幾らでも積み上げる人間は居たのだからあの太陽に手が届くと思えば平気で殺せた。
しかし、人間は決して無限ではない。無限であっていいはずがない。
果たして、死体を積み上げていき太陽に手が届いたとして。
そこから見える景色は望んだものなのだろうか?
例え、それが誰もが幸せで平和な世界だとしても。
そこにたった3人しかいない世界は本当に―――理想の世界と呼べるのか?
「呼べるはずがない! そんなものが―――理想の世界であってたまるかッ!?」
衛宮切嗣のやり方では決して世界は救えない。
己が原初に抱いた理想とかけ離れた世界が産み落とされるだけだ。
余りにも滑稽だ。誰もが幸せな世界に少しでも近づけようとした結果、一握りの人間の幸せしか得られない世界を作っていた。
まるで明かりを求めて飛び回る虫のようにひたすらに死体を積み上げて太陽に近づいた。
下を見ると憎悪の目と怨嗟の声を向けられたから逃れるために必死に昇った。また、殺して。
必死に太陽だけを見ながら、目を焼かれ、理想以外に何も見えなくなっても昇った。
だから気づくことがなかった。世界を見渡すことがなかった。
理想を砕かれてようやく思い至った。思い知らされた。
頂上から見える景色とは、愛の溢れる世界とは真逆の死体以外に何もない荒廃した世界だと。
愚かだった。この上なく愚かだった。人が幾ら努力したところで太陽に手が届くわけがない。
例え、太陽に手が届いたとしても。
積み上げた死体と共に太陽に焼き尽くされるだけ。
人の世の理を超えた理想を追い続ければいずれはこうなることは必然だった。
叶うはずがないと分かっても追い求めた。その結果がこれだ。
そんな簡単なことにすら、衛宮切嗣は気づくことができなかった。
「ただの自分のエゴで殺してきた。そんな自己満足で殺された者達は一体何のために死んだんだ!? 世界を救うために殺したのに世界が救われなかったら―――無意味な死じゃないか!!」
決して報われることなどない間違った理想の為に数え切れない者を殺してきた。
救えたというのに殺してきた。その死に何の意味を見出せばいいのだ。
彼らは訳も分からずに、理想を知らされることもなく、奇跡を宿した手によって死んだ。
衛宮切嗣はその死に報いるために世界平和という結果を成し遂げねばならなかった。
心のどこかで叶うことはないだろうと思っていた。
でも、少しは彼らの死が報われると信じていた。
だというのに、方法そのものが間違っていた。
彼らは無価値なものの為に殺され衛
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