義理姉の実の母の霊?
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学3年の時。つい最近よ。でもね。私は寂しくなかった。なぜなら私の母は最低な悪女だったから」
「これは罵倒に入らない。“親を蔑むのは”良くない」
「それを聞いて欲しいの。私の母親はいつもお父さんに会う時は常に借金を押し付けるときだけ」
「そうなんだ」
彼女の母親が死んだことは聞いていたが、それは初耳だ。しかし。これで実母が“視えなかった”事とつながった。
娘に未練がなかったからなのだ。
土日を利用して俺は墓の有る地元に1人で戻った。
「父さん。これはあんたの仕組んだ罠か?」
墓の前で首を振る父親。
「確かに春休み。俺は妹が欲しいなって愚痴った。どうして母性本能むき出しの姉を寄越した!」
墓に向かって俺は軽く怒鳴る。
(別に嫌味じゃないさ。彼女に纏わりついている母親への嫌悪を解いてやれ)
「視えなかったぞ!?」
俺は父親に問う。
(別に本物を見ろって言っているわけじゃない。彼女の脳裏に焼き付いた母親像を打ち消せって言っているのさ)
「父さんは心明の事を知っていたのか?」
(知っていた。彼女の父親は俺の元同級生だ)
「何だ?出来過ぎているな?」
(頑張れよ。我が息子)
そう言って父さんは墓の前から消え失せた。
俺。斎藍氏は霊能力者と呼ばれるものだ。
今は川下だったな。
そうして片道4時間掛かる電車に乗り川下ハウスに帰る。
「只今」
「お帰り藍氏君。お墓参りお疲れ」
「どうしたの?どうして家にいるの?」
今日は部活がバリバリ存在する日だ。
しかし彼女は家にいた。
「何で家にいるの?」
「怪我しちゃった」
彼女の声は掠れていて、頬が赤い。泣いた痕だ。
「ねえ。心明。今から墓参りに行くよ」
「さっき行ったのに又?」
「今度は姉さんのお母さんのだよ!」
俺は怒鳴る。すると彼女は驚いた表情を見せた。
「どうして!?」
「どうしてもこうしても有るか!」
彼女は足に包帯がぐるぐる巻きにされてあった。
骨折までは行かないだろう。しかし打撲症だったためこれは大会に出るまでに完治は難しい。姉さんなら無理して出ると言いかねない。
「姉さん。試合に出たい?」
「出たいわよ」
「そうだけど。今回の試合は諦めたほうが…」
「うん。怪我をした私が試合に出たら皆に迷惑掛けちゃうから」
浅はかだった。愚かだった。
「ごめん。姉さん」
「…何が」
「俺を一発打ってくれ!」
「何でいきなり?」
「俺。姉さんに対して向き合ってなかった」
「ごめんね。私も」
姉さんは軽く俺の脳天に手を載せた。
「はい。一発」
「…全く。姉さんは。それと。墓参りの件は続行だ。このまま墓に行くよ」
「え?」
「川下家のでもなんでもいいから」
「何でもいいって?」
俺は彼女とタクシーで墓まで向かう。
「ここ
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