彼と彼女の三角関係?
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私は印刷室に向かうと、掲示委員の先輩の土崎佳奈さんにすれ違った。
「星観さん。どうしてさっき来なかったの?委員会もう終わりましたよ」
「すみません。ちょっとどうしてもやらなければならない事があって、それにとりかかったら時間を忘れてしまいました」
「そう。わかったわ。好きって気持ちを素直に表すのは難しいものだからね」
私は佳奈さんから距離を取り赤らめた顔を必死で隠すように土下座をする。
「何?もしかして図星?適当に言ったんだけど」
おしとやかで優しい口調の佳奈さん。怒りを露わにはしないものの、そのゆっくりとした口調から出る言葉は私の心を串刺しにする。
「もしもそうならその相手は高樹唯斗くんでしょ?」
私は佳奈さんから走って逃げた。
そして印刷室に訪れると唯斗がいた。
最悪。私の脳裏には言葉が自然と浮かびまじまじ中に入る。
「よっ。沙織」
「っち!」
舌打ちが自然と漏れた。
「なんで目をそらすんだよ!」
「ちょっと!」
唯斗は私の肩を掴み壁に叩きつけるように迫る。
「あ、えっと!」
「わ、悪い!」
私から慌てて離れる。
卑怯だ。誰に対してもそういう態度を取る。
下校中。私は歩乃と並んで歩いていると、さっきの印刷室前のことを聞かれてしまった。
「ねぇ沙織。どうだった?」
「唯斗に壁ドンされた」
「え!?進展あり?」
歩乃は顔を私に寄せてきた。
「進展って問題じゃない。私のこのひねくれた性格のせいで変に迫られた」
いつ頃からだろうか?私はあいつを男として意識して、普通に会話をするのもままならなくなった。それから見ての通り、目を合わせるだけでも逃げたくなるくらい。
「でもすごいと思うよ、沙織は。だってあいつモテるんだよ」
「知ってる」
「掲示委員の佳奈さんも気があるようなこと言っていたし」
「歩乃は?」
「純粋に格好いいと思うよ。でも八方美人と言うか、誰にでも愛想振りまいている感じがしてちょっと近寄りがたい」
「そう。私も、その1人でしかないのかな?」
「意外とそうかもね。いくら幼なじみと言っても、ここまで嫌われたような態度を取ると鈍い彼は絶対勘違いするし」
「どう転んでも私は無理だよ」
佳奈さんが相手だから勝てっこない。佳奈さんは学校のアイドル的存在。それに好かれるとかどんなことをやったのか気になるばかりだ。
「歩乃。あんた好きな人だれ?」
「私の好きな人は地味で、目立たなくて、それなのにクラスの活動になると、裏方を見つからないようにこなすやつ」
「分かった。篠崎だ」
「あたり」
「でも篠崎って誰かと付き合ってなかったっけ?」
「それ誤解なの」
「へぇ」
彼女の目を見ると少し悲しげだった
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