失策
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自分の履いている、“蒸気強化”の付いた靴の目盛りを少し動かす。
この“蒸気振動剣”ほど“有機魔素化合物”を使用しないとはいえ、これもそれほど残量があるわけではない。
けれど囮という短期間で済みそうなこの行動どうであれば、“守護触媒”の触れさせる面積を増やして、そのままアリシアは地面を蹴る。
厨に浮いたような浮遊感とともに、数メートル上空に飛び上がり、そのまま敵となる彼らの前に躍り出る。
その紳士は喜色を浮かべ、
「おや、そんなところに隠れていたのですか。これは1つずつ箱を破壊する手間が省けましたよ」
「その余裕がいつまで持つかしら」
「ふむ、その剣を過信し過ぎなのはどうかと思いますよ?」
「あら、これの危険性を知っているのに、その余裕。理由を教えてくださらないかしら」
そこでアリシアは、その紳士の“蒸気機械兵”に襲いかかる。
まずはこの一番危険な兵器を始末してしまおうと考えたのだけれど、その“蒸気機械兵”のもう片腕を切り落としてしまおうとしたアリシアだがそこで、ガチッと音がする。
現れたのは、その“蒸気機械兵”の腰のあたりに隠されていた弾頭だった。
なんてものを持った怪物かと思っているとそこでそのうちの一発が発射される。
冗談ではない、こんなものの相手などしていられない。
アリシアは悲鳴を上げそうになりながらも、“蒸気振動剣”で細切れにしてその場から横に離れる。
大きな爆音と閃光。
直ぐ側に先ほどの弾頭の欠片が跳んできて、火薬の匂いが充満する。と、
「まあ、つまりですね。この“蒸気機械兵”に下手に手を出せば、貴方も巻き込まれて先ほどのように爆発してしまうということです」
「……だったらその木偶の坊の腕と足を切ってしまえば動けないでしょう?」
「先ほどは油断してしまいましたが次はありませんよ。この“蒸気機械兵”は我々の傑作の一つでしてね。“自動回避モードに切り替えろ”」
そこで紳士が杖でコツンコツンと床を二回叩き、同時にその“蒸気機械兵”から声がする。
「“認証しました”“次の目的を設定してください”」
「ではあの娘を捕らえろ」
その紳士の杖が指し示したのは、アリシアの方ではなく。
焦って振り返るとそこにはシャーロットがいる。
油断したと思ってアリシアは駆け寄ろうとするが、
「まあ待ちなさい。貴方の相手はこの私です」
そう言って紳士が
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