5部分:第五章
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インディアン達がしょっちゅう攻め込んできまして」
「それでなのか」
「ええ、奴等はいつも山から来ました」
その山からだというのだ。彼等が通ったその山だ。
「そこからです」
「そうか。そこからか」
「それでわかったんですよ。というか調べまして」
「道のことをかい」
「そして山のことも」
ロッキーのこともだというのだ。
「村単位で調べまして。それでだったんです」
「つまり備えてなのか」
「それが役に立ちました」
感慨を込めての今の言葉だった。
「ですから」
「そうか。おかげで助かったよ」
エドワードはあらためて感謝の言葉を述べた。述べながらバーボンを喉の中に流し込む。独特のそのいがいがとした感触が喉を攻める。
その感触を楽しみながらだ。彼はさらにロナウド達に対して話した。
「つまりその場所を知れってことか」
「そういうことですね。行くにはまずその場所を知る」
それだというのだ。
「敵を知るのと同じ位に」
「そうでなければ勝てるものも勝てなければ」
「命もありません」
極論ではなかった。エドワードも自分一人だけで言ったならば、そしてロナウドの言葉を聞き入れなければどうなっていたか、よくわかっていた。
「ですから」
「そうだな。それじゃあ」
「それじゃあ?」
「犬達にも御馳走するか」
笑ってこう言ったのである。
「今度はな」
「ええ、そうですね」
ロナウドもエドワードの今の言葉を聞いてにこりと笑って応えた。
「あの連中も頑張ってくれましたし」
「犬がいたから温もれたしね」
「荷物も運んでくれましたし」
「それに」
エドワードはここであることに気付いた。それは。
「山の獣達も近付いて来なかったし」
「だから数を連れて行きました」
ここでまた事情を話すロナウドだった。
「犬は多ければ多い方が力がありますから」
「人と同じだね」
「そういうことです。ではその功労者達にも」
「うん」
「御馳走しましょう」
その笑みで返すロナウドだった。二人は無事任務を終えて今は一息ついていた。自然の驚異を無事避けられてだ。任務の成功と共にそれも祝っていたのだった。
ウェンティゴ 完
2010・3・5
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