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機動戦士ガンダムSEED編
第23話
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女性との通信だった。バルトフェルドとアイシャは指示通り口を閉ざし二人の話を聞いていたが、洸はさほど時間を掛けずに通信を終了させた為またすぐに二人との会話を再開し始めた。


「いいのかい?すぐに戻ると言っていたが」
『……いや、あまり良くはないな。出来れば早く結論は出してほしいところだ』
「随分とせっかちね」
『…まあ、ここからさらに遅くなれば迎えを寄越してくるかもしれないからな。そうなるともう誤魔化しが効かなくなる。……だから』
「──私は構わないわよ。あなたの拠点に行っても」
『……本当か?』


 まさか彼女が了承するとは思わなかったのだろう。洸の表情は驚きと戸惑いに満ちていた。そんな洸にアイシャは溜め息を尽きつつ問いに答えた。


「……彼に行く気があるならね」


 バルトフェルドに視線を送りながらアイシャはそう告げる。

 彼はアイシャの指摘を素直に認め、顔と名前を明かしはしたが、だからといって心境が変わる程彼女の心は安くはない。実際、今し方会ったばかりの人間をそう安々と信じられる人間など中々いないだろう。

 ならば何故彼女はバルトフェルドの了承有りが条件とはいえ洸の拠点に行く事にしたのか?

 それはバルトフェルドが洸に興味を持ち始めた事に気付いたからだ。
 彼女とバルトフェルドの付き合いは長い。それこそ話さなくてもアイコンタクトや表情、仕草などである程度片方が何を考えているか予想できる位の関係を築き上げていた。
 だから今回は彼女はバルトフェルドの考えを尊重し、自分の意見を曲げる事にしたのだ。


「(まぁ、いざとなったら私がしっかりすればいい話だから)」


 そんな彼女の思いに気付いたのかバルトフェルドは申し訳なさそうにアイシャを見るが、当のアイシャはそれを笑いかける事で返答する。


「(彼女にはいつも適わないな……)」

 
 バルトフェルドはそう思うと同時に自身の思いを曲げて自分に合わせてくれたアイシャに心の中で感謝した。そして目線をアイシャからモニターへと向け、洸に自分の答えを述べ始めた。


「僕もその拠点とやらに行って構わないよ。話はそこでじっくりと聞かせてもらおう」 


 その答えを聞いた洸はコックピットの端から小振りの通信機らしき物を取り出し誰かと連絡を取り始めた。
 仲間と連絡を取っているのだろうとバルトフェルドは考えたがしかし、その必要性があるとは彼は感じられなかった。

 迎えに寄越すにしても時間が掛かり過ぎれば足付きから迎えが寄越される可能性があるというのに、この遮蔽物一つ無い砂漠地帯の中で足付きにバレず、尚且つ時間を掛けずにここから離れる方法があるとは思えなかったからだ。


「でも大丈夫かしらね、部隊の方は」

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