第三十七話 河合中佐!ラジコンは芸術!!その十三
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「あの頃の清原はよかった」
「アイドル選手だった」
「今じゃ全然信じられないけれどな」
「そうだったんだよ」
ここでも二〇一五年現在の清原の顔が二人のバックに浮かぶ。当然その目のところには黒い目線が入る。
「覚醒剤打ってるって週刊誌にあったけれどな」
「本当だったらどうしようもないな」
「そんなCMに出てた奴が打つとかな」
「流石にそれはないでいて欲しいな」
幾ら清原が嫌いでもだ。
「あんな奴でも」
「薬はやって欲しくないぜ」
「あれをやったらな」
「本当に終わりだからな」
「人間を人間でなくさせる」
「それが麻薬なんだよ」
つまり廃人になってしまうのだ、薬物中毒が進行すると。
「昔はヒロポン普通に煙草屋で売っててな」
「普通に買えたけれどな」
終戦直後だ、尚戦前は台湾でも阿片は国家の専売だった。これは台湾の阿片に対する統制政策の一環で阿片を国家が専売し悪質な業者や常習者を管理したのだ。そして阿片の吸引を免許制として新たな認可を出さずそれ以上の常習者を出させなかったのだ。
「ヒロポンは覚醒剤のことだぜ」
「そのものずばりだよ」
「織田作之助さんが死ぬ間際打って書いてたんだよ」
「死力を振り絞ってな」
打ち過ぎて手に注射タコが出来て新たに針が通らなかった程だという。
「それで織田作さん死んだんだよ」
「結核でな」
「まだ三十四歳だったのにな」
「結核の疲れをヒロポンで吹き飛ばしてな」
「命を燃やして書いたんだ」
「この話、覚えておいてくれよ」
麻薬の恐ろしさを悲しさを知る為にだ、二人も真剣に読者に話す。
「織田作さんは人間のまま死ねたけどな」
「死にそうな身体の最後の力を麻薬で引き出してたんだよ」
「それで最後死んだんだ」
「これは本当にあった話だぜ」
昭和二十二年一月、織田作之助は死んだ。
「こうした話も知っておいてくれ」
「覚醒剤は怖いんだよ」
「そのヒロポンが覚醒剤なんだよ」
「打つもんじゃないんだ」
「絶対に手を出すなよ」
「一時の快楽でも死ぬ前でもな」
死ぬ前に何とか力を出そうとしてもだ。
「それはするなよ」
「間違ってもな」
「作者も清原のこの話だけは信じたくないしな」
「覚醒剤をやってるって話だけはな」
如何にだ、清原が嫌いでもだ。
「覚醒剤の終わりは破滅しかない」
「後に何も残らないんだよ」
「心も身体も壊れてな」
「人間が人間じゃなくなるんだよ」
「冗談抜きで頭も身体もおかしくなるんだよ」
「間違ってもするんじゃねえぞ」
二人は強く言う、これまでにない位に。
その二人のところにだ、悪田部が出て来て言って来た。
「君達の言う通りよ」
「あれっ、悪田部さんじゃないですか」
「どうしてここに」
事務所の
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