第三章
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「これはまずいよ」
「ダッチェス、ここだ」
「ここに来るんだ」
「そして逃げるんだ」
「急ぐんだ」
皆はマクレガーさんに石を投げられているダッチェスに急いで声をかけました。
「マクレガーさんは君に気付いているぞ」
「見えている」
「だからすぐにこっちに来るんだ」
「そして逃げよう」
「うん、そうするよ」
ダッチェスも頷いてでした、そのうえで。
皆のところに急いで駆けてです、そこから森の中に逃げました。そしてそれぞれの飼い主のところに戻る前にです。
どうしてダッチェスはマクレガーさんに見えていたのか、そのことをお話するのでした。
「どうしてね」
「うん、君の姿が見えていたのか」
「マクレガーさんにね」
「それはどうしてだろうね」
「見えていない筈なのに」
「どうしてから」
「あれっ、何か」
ここで言ったのはペリーでした。ダッチェスの身体を見てです。
「君今かなり白いよ」
「白い?僕が」
「うん、白いよ」
そうなっているというのです。
「何かね」
「僕が白い筈がないよ」
こう返したダッチェスでした。
「だって僕は黒犬だから」
「雪だよ」
「雪?」
「そう、雪が降ってるからね」
「その雪が身体に付いて」
「それで白くなっているんだ」
こう言うのでした。
「僕も今気付いたよ」
「そういえば僕達もね」
「結構雪が付いてるね」
「何かね」
「そうなっているね」
「うん、それだよ」
まさにと言うペリーでした。
「僕達も雪が付いてるけれど」
「僕は黒犬だから」
「そのせいで余計にね」
「目立ってしまって」
「マクレガーさんからも見えていたんだ」
夜ですがそれでもです。
「そうなっていたんだ」
「そういうことだね」
「うん、そうなんだよ」
「わかったよ、だからなんだ」
また言ったダッチェスでした。
「僕は見付かったんだね」
「白の中の黒はどうしても目立つよ」
「そうだね、僕が夜に目立たないのは」
雪が降らない夜にです。
「夜の黒い中に紛れるからだからね」
「雪の中だとどうしても目立つよ」
ペリーはダッチェスに言ってダッチェスも納得しました。そうしたお話をしてから皆はそれぞれの飼い主のところに戻りました。
ダッチェスも飼い主のお家にある自分の小屋に戻って首輪をつけてからです。小屋の中に入って思いました。
「雪の時は気をつけないとね」
自分の黒い身体ではと思ってです、そうしてそのまま寝てしまいました。一つ教訓を得たことを確かめながら。
ダッチェスのお話 完
2015・10・12
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