第一章
[2]次話
ダッチェスのお話
黒犬のダッチェスはお友達の何匹かと一緒にお散歩に出ている時にその皆からふとこんなことを言われました。
「ダッチェスって夜は見えないよね」
「そうだよね、真っ黒だからね」
「夜だとね」
「もう全然見えないよね」
「何処にいるのかわからないよね」
こう皆で言うのでした。
「本当に凄く黒いからね」
「そこまで黒いとね」
「もう完全に夜の中に隠れてね」
「見えなくなるね」
「うん、そうだよね」
ダッチェス自身皆のその言葉に頷きます。
「だから夜に外出歩いたらね」
「もう誰にも見付からないね」
「匂いとか音ならわかるけれど」
「目ではね」
「見えないね」
「だからね」
それでとです、こうも言ったダッチェスだった。
「異葛をしてもね」
「そうそう、見付からないね」
「悪さをしてもね」
「それは便利だよね」
「僕なんかね」
白犬のペリーが言うには。
「夜でも目立つから」
「そうだね、君はね」
「真っ白だからね、身体が」
「夜でも隠れられないね」
「けれど君はね」
ダッチェスに言うのでした。ペリーも。
「それだけ真っ黒だから」
「お昼はともかくとしてね」
「夜になったらね」
それで、というのです。
「隠れられるね」
「有り難いことにね」
「じゃあ実際に悪さしてみる?」
「そうしようかな」
ダッチェスはまんざらでもないといった声でペリーに返しました。
「今度ね」
「僕達にはしないでね」
「そんなことしないよ、するとしたら」
その悪戯をというのです。
「マクレガーさんだよ」
「ああ、あの人ね」
「あのすぐに怒るからね」
「僕達が畑に入ろうとしたらね」
「もうそれだけでね」
「だからね」
それで、というのです。
「あの人にね」
「悪戯するんだね」
「そうするんだ」
「そうだよ、僕達はね」
犬はというのです。
「お野菜食べないじゃない」
「そうそう、全然ね」
「お野菜は食べないよ、僕達は」
「パンは食べる時もあるけれど」
「お野菜は食べないよ」
「犬だからね」
「そう、畑で用を足すけれど」
それでもというのです。
「それだけでも怒るよね」
「あの人はね」
「兎にも何でも怒るけれど」
「僕達にもだから」
「困るんだよね」
「そう、だからね」
あまりにも怒るからというのです、マクレガーさんが。
「夜にやってやるよ」
「あの人への悪戯」
「それをするんだね」
「そうするよ、今夜にでもやろうかな」
「早速だね」
「今夜にもなんだね」
「仕掛けるんだね」
皆でダッチェスに尋ねます。
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