第五章 黒トリガー
第七話 物語の亀裂
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眼鏡を拭き、かけ直す。
視界は一気によくなる。
トリオン体なら視力など気にする必要はないが。
黒い髪をいじりながら、カレンダーを見つめた。
アフトクラトルが来る日であった。
「くだらないわね。
これは計画にはなんら関係無い私的行為。
仕方がないわ。だって、私が協力している時点で私的だから。
今更、何を言おうが私的であることに変わりはない。
恨み・・・向けるべき相手ではないのに。」
そうは言うが、やることは反対方向に進んでいる。
それを正当化する自分が酷く嫌になった。
しかし、その罪悪感さえ消し去ったのは、長い時間だった。
時間が人を歪ませるのは事実だ。
私が証言しよう。
〜〜〜〜
アフトクラトルが来る。
私は物語を変えないように動くしかない。
本部の屋上から三門市を見つめ、小さく呟いた。
「やれる、大丈夫」
ここでアフトクラトルに負けてもいけない。
勝ちすぎてもいけない。
私が危なくないように、そして物語も安全に・・・
これはかなりの欲張りだと思う。
それでも欲張りになりたい。
私より物語のために。
「来た・・・」
複数の警告が耳に入る。
あまりにも煩すぎて、嫌になった。
きくっちー、耳、いたくないかな?
歌川が塞いでくれるとか?可愛いな・・・
くだらないことを考えていると、誰か来た。
餅食い攻撃手だ。
嫌だな〜目がメロンパン以外に機能ないから。
「お?眼鏡ずれてるぞ」
「かつら、ずれてますよ?」
「まだ地毛だな〜迅よりあるだろ?
見てみるか」
いや、見たくないよ。
迅さんとそんな会話してね?
萌えてあげるから。
「それで、俺はあの爆撃型を斬ればいいんだな?
斬れないのか?」
「あはは、無理。
自爆モードは固すぎて・・・
太刀川さんは斬れますよ。私が保証します。
グラスホッパーなら貸します。」
イルガーの接近を確認する。
危ないので立たずに座りながら凌ごうかな。
危うく、落ちそうになりはするがセーフ。
太刀川さんが手を掴んでたらしい。
確実に恥ずかしい。
「よーし、一体斬るか。
グラスホッパー貸してくれ」
「はいはい。それじゃあ・・・
私は新型狩りますね?あれは手強そうだから」
とかいいながら、太刀川さんの獲物がほしいだけ。
私も戦功ほしい。かっこいいから。
しかし、あの人のお願いに遮られた。
『悪いな〜如月ちゃん。
いい相手が君にはいるんだよな〜
そっちにいこうか』
迅悠一!!
言われたことはやりますが、それ以上はやりません。
『如月ちゃんならわかるはずだよ。』
・・・迅のやつめ。
私に何を狩らせる気だ。
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