7.姉ちゃんの謎
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けど、変えるのも何だし、今もこのままで通してる」
―ご存じないですか? やっぱり近くじゃないのかな……
“叢雲たんチュッチュ鎮守府”ってところなんですけど……
「だけどゲーム内とはいえ、自分の名前が“叢雲たんチュッチュ”てのはどうかと今は思うけどな。まぁウチの子たちももう慣れ親しんでるだろうし……」
岸田はそう言いながら、ネットの動画サイトで何かを探している。ヤバい。気持ち悪い。悪寒がひどくて止まらない。頭がグラグラする……このヒエイというキャラの画像を見てられない……
「ぁあ、あったあった。……つーかシュウ、大丈夫か?」
「大丈夫……で、なに?」
「ぁあ、今検索したらYoutubeに他の音声アップされてたぞ。聞いてみるか?」
「あ……う、うん」
「ホントに大丈夫かお前……再生するぞ」
岸田は心配そうに僕の様子を伺いながら、マウスをクリックした。
『気合!入れて!行きます!』
―気合! 入れて!! 打ちます!!!
『私、がんばるから!! 見捨てないでー!!』
―ご一緒に! ポテトは!! いかがですか?!
比叡さんの声そのものの音声が次々パソコンから流れてくる。どれも他人の空似じゃない。あの比叡さんが言ったとしか思えない。胃の中のものが喉まで出かかった。口の中にすっぱい味が立ち込め、お腹が必死に胃袋の中のものを吐き出そうと波打った。僕は、ここで吐いてしまわないように……岸田に迷惑をかけないために、必死にその衝動を抑えつけた。
「おい大丈夫かよ……お前、顔真っ青だぞ……」
「い、いや……大丈夫……つーか、帰っていいかな岸田」
「お、おう」
「今日はありがとう岸田……ごめん……」
僕は口を押さえたまま、逃げるように岸田の家を出た。玄関から出たあとはなりふり構わず必死に走った。とにかくこの体中を襲う不快感と不安感をなんとかしたくて、必死に、ただがむしゃらに走った。気がついた時、僕はあの神社にたどり着いていた。
息が乱れているけど、なぜかうまく呼吸出来ない。苦しい。喉のところで呼吸がつっかえている感じがする……喉に穴を開けたくなるほど苦しい……
「あれ? シュウくん?」
今は絶対に聞きたくない声が聞こえた。比叡さんだ。最悪な偶然だが、比叡さんがこの神社にいた。
「どうしたの?」
比叡さんが近づいてくる。いけない。その姿を見ただけで、頭がグラグラして立ってられなくなる。胃袋がさらに中の物を吐き出そうと気持ち悪い動きでお腹の中をかき回す。気持ち悪い。寒い。頭が痛い。息が苦しい。
「どうしたのシュウくん?! 顔真っ青だよ?!!」
「なんでもない……大丈夫。大丈夫だから」
「そんなことないよ!! 全然大丈夫に見えない!!」
「大丈夫
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