7.姉ちゃんの謎
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くさんフィギュアが揃ってると壮観だね……。
「触るなよ?」
触りゃしないよおっかない……だから僕を殺しそうな目で見ないでくれ。
「さっきはえらい剣幕でおれに迫ってたくせに、よく言うよ……」
岸田はそう言いながら、マウスをカチカチと操作している。画面を見ると、壁紙は……なんとなく覚えてる。このキャラは、以前岸田がやられっぱなしになっていたフェイトそんとかいうキャラだ。
「当たり前だ。おれはフェイトそんが一番好きだからな」
ぼくは岸田の愛を甘く見ていたようだ。ごめん岸田。
岸田は僕と会話をしながらブラウザを開き、ブックマークから、とあるサイトにアクセスした。アクセスして若干のタイムラグの後、『かんこれッ!!』という萌えキャラに似合いそうな声が再生された。
その後も岸田は淡々とパソコンを操作していく。女の子キャラの声と、岸田がマウスをクリックするカチカチッという音だけが、部屋の中で聞こえる音だ。それが逆に、部屋の中の静けさに拍車をかけていた。
岸田が『図鑑表示』というメニューを選択し、女の子キャラのリストのようなものがゲームいっぱいに表示された。マウスのクリック動作を繰り返し、画面の表示を次々に変更していく岸田。
「ほら。これが今行方不明になってる、おれのヒエイたんだ。前にお前に話したと思うけど、急にうちから消えて、未だに運営からの連絡はない」
僕は画像を見た瞬間、体中から血の気が引き、胃袋の中の物が逆流してくるのを感じた。体中が震え、身体の芯は熱いのに体中に寒気が襲いかかり、僕の身体は鳥肌を立てて震え始めた。
「比叡姉ちゃん……」
確かにこれはイラストだ。イラストだけれども……この巫女さんのコスプレのような服……この特徴あるXアーム……カチューシャと耳飾り……そしてなによりこの笑顔……紛れも無く、比叡さんそのものだ。
そして声。
『井上提督も愛した、巡洋戦艦、比叡です!!』
―私はコンゴウお姉様の妹分! 巡洋戦艦、ヒエイです!!
聞き間違えるはずがない……これは比叡さんの声だ。この声質も、声の調子も何もかも……
ヤバい……気持ち悪い……このイラストを見て声を聞いているだけでなんだか頭がグラグラする……倒れそうになるのを僕は必死に堪え、画面を改めて観察した。
画像の左上隅っこに『母港』とデカデカと書いてある部分があるが、そのそばに書いてある言葉が目に入った。この言葉は聞き覚えがある。この珍妙な語句を、僕は聞いたことがある。
「岸田……これは?」
僕は胃袋をかき混ぜられる不快感に必死に堪え、その言葉を指差して岸田に問うた。
「ぁあ、ゲーム内でのおれの名前だよ。最初叢雲って子が気に入ってはじめたからこの名前なんだ
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