7.姉ちゃんの謎
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た。
その時、日本には戦艦『比叡』がいた。戦艦・比叡は金剛型戦艦の二番艦。金剛型には同じく一番艦・金剛、三番艦・榛名、四番艦・霧島があったとのことだ。一番艦の金剛は、イギリスで建造された戦艦で、他の3隻は日本で建造されたらしい。
―榛名とか霧島とか妹はいたけど……シュウ君が弟か〜……んっん〜ふっふっ
ぁあ、私お姉様が一人いて、妹が二人いるの。
金剛お姉さまなら帰国子女だから英語詳しいんだけどね〜……でね! でね!
番号を生まれた順番だと考えると、比叡さんの言葉は辻褄が合う。そして金剛はイギリスで建造された日本の船……言ってみれば帰国子女。
そして、戦艦・比叡は終戦を迎えることなく沈没している。
―よかったぁ〜……私その頃にはもういなくて、
妹の榛名にしか聞いたことなかったから……
なんだこれ。比叡さんが言ってたことと、戦艦・比叡のことが気持ち悪いほどリンクしてる……。比叡さんと初めて出会った時の疑問が最近、再び頭をもたげてきた。比叡さんは何者なんだろう……一体どんな人なんだろう……
それから数日、ぼくの頭の中でその疑問が渦巻き続け、勉強がまったく手につかなかった。比叡さんとはいつも通り接していたが、その疑問が頭から消えることはなかった。
「おいシュウ、お前最近、全然授業聞いてないだろ」
今日の最後の授業が終わった後、もはや腐れ縁と言っても過言ではないキモヲタの岸田がぼくにそう話しかけた」
「声に出てるぞ。誰がキモヲタだ。つーか何のモノローグだそりゃ」
「だって岸田、前に自分で『おれはキモヲタだ。キリッ』とか言ってたじゃん」
「……まぁいい。お前最近なんか悩んでるのか?」
岸田はキモヲタのくせに、こういう時は意外と敏感だ。
「んー……まぁ」
「そっか。何のことか知らないけど、早く解決するといいな」
「うん。ありがとう」
ちくしょう。時々岸田はこうやってイケメンになる。
「そしておれのヒエイたんもいい加減帰ってきてくれよぉぉおぉぉおぉン」
そしてその直後にすぐこうやってキモヲタの一面をすぐ見せ……
「今なんて言った?!」
僕は立ち上がり、岸田の制服の襟を両手で掴みあげた。あまりに突然のことで、岸田は酷く狼狽しているようだった。でもそんなことおかまいなく、僕は岸田の襟をねじり上げた。
「ちょ……な、なんだよっ」
「今さっき!! なんて言った岸田!!」
「早く解決するといいなーって」
「そんなお約束はいらない! その後!!」
「俺のヒエイたん……?」
なぜだろう。なぜか顔から血の気が引いていくのが分かった。でも逆に、岸田の襟を掴んでいる両手には、どんどん力が入っていく。
「なんだよそれはぁあッ!!!」
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