2部分:第二章
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めなくなった。馬を下りて共にそこで丸くなるしかなかった。とりあえず毛皮を着込んでそれを馬にも被せる。草原で馬がいなくてはどうしようもない。モンゴル人にとって馬とは身体の一部なのだ。モンゴル人は四つ足だという言葉がある程であるのだ。
そのまま馬と共に嵐をやり過ごそうとする。しかしそれは適いそうもなかった。次第に寒さの中で眠くなっていく。そうして彼は遂に眠りに落ちてしまった。
そして目覚めた。しかし目覚めた場所は死の世界ではなかった。そこではなく何処かというと。彼が元からいる草原であった。
「俺は・・・・・・生きているのか」
目覚めて最初に目に入ったのは一面の銀世界だった。至るところ雪ばかりだった。
次に目を背もたれがわりにもしていた馬にやる。彼も無事だった。弱ってはいるようだったがそれでも何とか生きていて座り込みながらも目は開けていた。
「御前も無事だったか」
「ヒヒーーーン」
馬は彼の言葉に応えて嘶いた。声は弱くなっていたがそれでも確かなものだった。
「俺達は助かったのか」
それがわかった時だった。今度は周りにも気付いた。周りにいたのはふさふさした毛の丸く大きなものだった。それは。
「狼か?」
ここで顔や耳が目に入った。確かにそれは狼達だった。十匹、いや二十匹はいる。その狼達が彼の周りで丸くなっていたのだ。まるで彼を守るかのように。
「何でこんなところにいるんだ」
彼はいぶかしながら述べた。
「狼がどうして」
ここで狼達が一斉に顔をあげた。そうしてじっと彼を見てきたのだった。
そのうちの一匹と目が合った。黒い毛皮のしっかりとした顔の狼だった。目は鋭く強い光を放っている。精悍な印象を与える狼だった。
「御前は」
ジャムカは狼に対して問い掛けた。
「俺を助けたのか?」
勿論言葉で答えることはない。しかしだった。その狼は無言である。しかしその首を縦に振った。頷いたということだった。
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