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歌集「春雪花」
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 侘びぬれど

  助くることなき

   冬の空

 草木枯れにし

   身も老いにける



 彼を想わずにいられたら…そんなことを考えて見上げた空は、白雲の流れる長閑かな青空…。

 どこまでも…彼の元へも続くのに、空はただあるだけで彼のことなど教えてくれない…。

 晴れていても風は冷たく、草も木も枯れた冬空の下…自分の歳を考え、深い溜め息をつくほかなかった…。



 冬の夜の

  寒風しみし

   明かりなく

 音もなくして

    独りかもねむ



 風の冷たくなった冬の夜…月明かりもない真っ暗な闇…。

 秋には煩いほどに鳴いていた虫の音も消え…もはや懐かしいほどに静かになり、風の音が幽かにするだけ…。

 こんな日は想いが巡り…眠る時ですら、ずっと彼のことばかり…。
 まるで部屋の冷えた空気に淋しさだけがとけ、私を包んでるのではと錯覚してしまう…。

 全く…独りで眠ることがこんなに淋しいとは…。




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