第6章 流されて異界
第130話 赤い瞳
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勝てる可能性が高い、と考える可能性も低くない。
ハルヒは異界化現象など知らない。こちらの準備などあっさり無効化してしまう現象が起きる事などは想像すらしていないだろう。
「少々無茶だと言う事が分かっていても、こんなチャンスは一生に一度あるかないか。まして、その場所は異世界からの訪問者。邪神召喚が為されようとしている場所」
不思議を探す事に血眼に成って居る人間とすれば、自分の生命と引き換えたとしても、見に行きたいと考えたとしても不思議ではない。
「まして俺は我が儘を言いやすい人間。ここはダメ元で我が儘を言って来ても不思議ではない」
もしも、ハルヒがどうしても付いて来たいと言ったのなら、俺はその方法を、文句を言いながらでも考えたでしょう。
しかし、彼女はそう言い出さず、敵の正体を類推出来る情報を言って来ただけで終わらせた。
名探偵さながらの俺の推理。但し――
「良い線突いて居る心算かも知れないけど、あたしはこれから連れて行け、と言おうと思っていたのよ」
あんたの言うように、こんなチャンスは二度とないかも知れないのだから。
矢張りへそ曲がり。そんな事は小指の先ほども考えていない癖に。
何故なら、
「お前、その格好で着いて来る心算か?」
流石に二日連続でその格好は辛くないか?
割と真面目な表情で、現在の彼女が着ている綿入り袢纏と、その下の浴衣。更に、既に靴下も脱ぎ、素肌を晒している足を順番に指差す俺。
この状態から、これから着替えるから待って居ろ、と言われても、現実的に考えて、俺が彼女を待つ訳がない。
素直にハルヒを置いて出掛けるだけ、です。
「それとも、俺の目の前で生着替えでも披露してくれる、とでも言うのか?」
流石にそれは勘弁してくれ。俺は自分の死刑執行書にサインをする心算はない。
実際、ハルヒが起きて居ても何も出来る事はない。故に寝て居てくれた方がコチラとしても楽。矢張り、仙術の行使には余計な気……妙に高ぶった気を強く発する部外者が傍に居られると気が散って、普段の実力を発揮出来ない可能性も出て来ますから。
特に今夜の戦いは珍しい術を使用する心算。それに相棒の方の問題もある。
ぶっちゃけ、出たとこ勝負の部分すら存在する今夜の作戦。ここで、ハルヒのような部外者を戦場の直ぐ傍まで連れて行くのは勘弁、と言う気分なのですが。
座り心地が悪いのか、綺麗な正座を所謂、横座りと言う形に足を崩すハルヒ。おそらく、座った時は直ぐに退散する心算だったのに、長い話に成りそうだと判断したのでしょう。
その様子を確認し、小さくひとつ首肯く俺。時間は大丈夫。
「昨夜の戦い。お前、自分の所為で負けたと考えている。そう言う事やな?」
昨夜
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