第6章 流されて異界
第130話 赤い瞳
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に、……とひとつ言葉を挟んだ後、
「あいつに触れていた浴衣に、何か青い体液のような物……臭いから多分、膿だと思うけど、それが付いていたのよね」
かなり自信がないのか、最後の方は少し声が小さく成って行くハルヒ。
もっともハルヒが、自分の判断に自信が持てない理由は分かる。そもそも人間の膿で青い膿など聞いた事がない。
但し、それは人間に、と限定した場合だ。
「成るほど」
ハルヒの言葉に小さくひとつ首肯く俺。腕は胸の前に組み、考える者の姿勢。
ほぼ不死身に近い回復力に、青い膿に覆われた皮膚。剣技などの技術に長けている訳でもなく、更に術に長けている訳でもない。但し、運動能力などは非常に高いスペックを現す。確かに、ヤツ……犬神使いに相応しい肉体と言う事か。それにしても、洒落が利き過ぎているな。
あの犬神使いに能力を与えた邪神がヤツならば、この状況も強ち不思議ではない。
「ありがとう、相手の正体がおぼろげながら掴めたよ」
正体が判ったトコロで、有効な対策が建てられる相手ではない事が分かっただけ、なのですが、それでもソレはソレ。
感謝や謝罪は素直に口にして置いた方が良い。妙にぎくしゃくさせても意味はない。
ただ――
何故か一仕事終えた雰囲気のあるハルヒを見つめる俺。コイツはどうにも、不器用で――
「何よ。何か言いたい事があるのなら、言ってみなさいよ」
既に普段の調子を取り戻し、妙に上から目線の台詞に戻っているハルヒ。もっとも、この上から目線も、細かく見て行くと俺に対する時以外はあまり目立たないのですが。
まぁ、俺以外の他人にあまり迷惑を掛けるような真似をしていなければ問題はないか。
「おまえ、意外に現実主義者だな」
ハルヒはどうだか知らないが、俺の方の緊張感はゼロ。そして、その雰囲気のままに口にした内容は、表面上の涼宮ハルヒと言う名前の少女を知っている人間に取っては、おおよそ説得力ゼロの内容の台詞。
当然――
「はぁ? あんた、一体あたしの何処を見て居たら、あたしの事をリアリストだと言う台詞が出て来るのよ?」
怒った、と言うか、呆れたと言う感じの答え。しかし、コイツ、この程度の……表面上を取り繕っただけの演技で俺を騙し通せると思って居るのか?
「だったら、何故、今夜の最終決戦の場に付いて来たい、と言わない?」
昨夜の俺とあの犬神使いの戦いを見たお前なら、俺とアイツの実力の違いは分かったはず。
まして、今夜の場合は遭遇戦ではない。初めから準備をして行く事が出来る戦い。この状況と昨夜の戦いでの俺と、あの犬神使いとの能力差を考えると、準備さえ整えればハルヒの身の安全を担保した上でも、圧倒的な能力差で
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