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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第130話 赤い瞳
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代に生きる俺に取っては名前やある程度の属性は分かっていても、其処から弱点を見付け出せるようなメジャーな神性ではない。

 それでも……。

「まぁ、心配するなって。俺の見立てでは、明日の午前二時にはケリが着いて居る。間違いなく、こんな訳の分からん邪神召喚事件は失敗に終わって居るから」

 かなり楽観的な予測を口にする。同時にテーブルの上に置いてあった腕時計を取り、時間を確認。時刻は未だ十時半前。慌てずとも、あの公園には余裕を持って着く事が出来る。
 もっとも、そんな事などせずとも時間は未だ十分にある事は分かっている。ただ、このままハルヒに、あっさりと抱きしめる事が出来る距離に居られる事は色々と良くない。

「それで?」

 ゆっくりと座布団の上に腰を下ろし、ハルヒを見上げる俺。ついでに、テーブルの上の菓子器からひとつ饅頭を取り出した。

「何が、それで、よ?」

 俺が離れた瞬間、ほっとしたような、それでいて何か不満があるような、ひどく複雑な雰囲気を発したハルヒ。
 しかし、それもほんの一瞬。直ぐに、何事もなかったかのような平静を装いながら、同じようにテーブルの一辺に腰を下ろした。

 ……やれやれ。

「何をしに俺の部屋にやって来たのか、と聞いているんや」

 菓子器からもうひとつ饅頭を取り出し、それをハルヒに向けて軽くトス。
 この行為自体に意味はない。まして、手で渡すよりも、よりフレンドリーな雰囲気を演出出来ると考えたから行った事。
 ただ、彼女の目的は分からない。昨日から少し緊張した雰囲気だった。更に、今回の旅行には朝倉さんや朝比奈さんが同行していないので、話し掛ける相手も居なかったので、単に他愛もない会話を交わせる相手として俺のトコロにやって来た。この可能性が高い。
 次は何か、俺が気付いて居ない情報に彼女が気付いた。この可能性もある。
 俺は万能ではない。今回の事件や、昨夜のあいつに関して、何か見逃した事が有るかも知れない。更に、彼女しか経験していない事もある。
 最後は、最終決戦の場に自分も連れて行け、と言い出す事。
 但し、その可能性は――

 その空中にゆっくりと上がった饅頭を片手で見事にキャッチ。

「あの犬神使いについて気付いた事があったんだけど――」

 しかし、受け取った饅頭の包みを開く事もなく、手の中で弄びながら答え始めるハルヒ。

「あいつに捕まって居る間中、キツイ獣の臭い――多分、犬の臭いの中に、何かが腐ったような臭いを感じたわ」

 何かが腐ったかのような臭い。基本的に悪神、邪神の類は悪しき臭いを発している、と伝えられている事が多い。そんな連中の一柱に加護を受けている以上、あの犬神使いも同じような臭いを発して居たとしても不思議ではない。

 それ
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