第6章 流されて異界
第130話 赤い瞳
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一周の間に値踏みされたのは間違いない。
表情はやや呆れた、……と言う表情。ただ、心の方はそうでもない感じ。納得した、と言う感じではないけど、好感は得ている、とは思う。
但し、彼女自身がこれから何をやりたいのか、は分からないのですが……。
「あんた、何よ、その格好は」
これから学校にでも行く心算なの?
何時も通りの憎まれ口。ただ、口ではそう言いながら――
「昨夜のアイツとは正反対の服装やろう?」
一歩、俺へと近付き、片手で留めようとしていた襟のホックを――留めてくれた。
一瞬、北高校の制服ならば良かったかな、などと考えたりもしたが、それも後の祭り。割と自然な動きで俺の間合いに入って来られたのは、彼女としてはかなり思い切った行動だったのかも知れない。
コイツはへそ曲がりで、今までは自分の方から距離を詰めようとはしませんでしたから。
事ある毎にネクタイを掴もうとしたり、背後から忍び寄って背中を叩こうとしたり。自分は此処に居るよ、と言うかのように強く主張はするけど、自分の方からは決して必要以上に近付いて来ようとはしない。飼い猫が飼い主の気を惹こうとして、テレビやパソコンの画面を見えなくしたり、広げた新聞紙の上に寝転がって見せたりする状態のよう。但し、自分の方からは絶対に近付いて来る事はない。飼い主の方から手を差し伸べてくれる事をずっと待って居る。
そんな感じ。
本当にこの涼宮ハルヒと言う名前の少女は人間関係に於いて、どうにも不器用で……。
それでも……。
ハルヒの人間性の考察はどうでも良いか。それに、積極的に動かれると困るのは俺自身。
そう考え、少しマズイ方向に傾きかけた感情とその他諸々を強制的にリセット。未だ詰襟に手を当てたまま、やや上目使いに俺を見つめるだけの少女に対して、言葉を続ける俺。
……いや、むしろこの妙に静かな空間の居心地が悪く、少し場を乱す為に言葉を続けたのかも知れない。
「身長も一般的な高校一年生の中では飛び抜けて高い。確かに、身体に付いて居る筋肉の量は多くは見えないけど――」
それでも軍服系の詰襟の学生服は良く似合う。ついでに首も、詰襟が映えるぐらいには長い。
蒼髪、蒼紅の瞳。そこに、本来なら実際よりも細く見える収縮色の黒は、俺に取っては少しマイナスの要素。通常よりも華奢に見える可能性も大きいのですが、其処はこの身長がカバーしてくれる。
これで猫背ではなく、ちゃんと真っ直ぐに立てばそれなりのイケメンが出来上がる……はず。……多分。
ハルヒは兎も角、タバサからは好感を得ているし、有希も俺の体型に関しては好意的。
但し、今の台詞で、ちゃんと場を乱す事が出来たのか疑問なのですが……。
もっとも、これが今回の服装の意味。今回の
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