第一部 悪夢 〜東方幻潜場〜
壱章 潜入
1.『スパイ生活』
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幻想郷。
妖怪の楽園と謳われるその地は、人間と妖怪が共存する社会である。その社会構造は実によくできており、多少パワーバランスが崩れようともすぐに修正される。
理想とは幻想であり、幻想とは理想である。
そう考えたあいつらは、僕を使うことにしたらしい。
僕はあいつらが嫌いだ。しかし、妹が人質にとられてしまった。
この作戦が終われば、妹ともども解放してやると約束された。得意の能力を封じられていたためにそれが本当か嘘かはわからないが、これにかけるしかないだろう。
僕に命じられた使命。それは、スパイ。幻想郷の戦力、地形、結界などを詳しく調べること。
これは“あらゆるものを見抜く程度の能力”を持つ僕にしかできない仕事。
角の生えた気味の悪い妖怪が、空間に無理矢理穴をあけた。これが幻想郷への入り口なのだと言う。
僕はもう、何も考えずにそこへ入った。
あの子を助けなければいけない。そのことが頭を支配した。
急に頭がクラクラしてきた。結界のせいなのだろうか。
僕はまだ、死ぬわけにはいかない。あの子を死なせはしない。
紫色に染まる境界に一筋の光が差し込んだころには、もう何も見えなくなっていた。
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