第十二話「貴公子、暴かれる」
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ータを盗ませようとしたのだ。
「そんなことがあったのか……」
清二はシャルルを可哀相な目で見つめた。
「……かといって、俺たちの正体を探ろうとしたんだ。まぁ……もう知っちまったかもしれないが、そうなった以上は生かしてはおけねぇ」
ラルフはランスロットの刃を彼女へ向けようとしたが、
「ラルフ君、シャルルちゃんに罪はないんだ。だから、許してあげなよ?」
清二は必死にシャルルを庇った。しかし、ラルフは任務に背くことは許されない。
「ごめん……これも任務なんだ。申し訳ないけど、これだけは譲れないね?」
「ラルフ、俺からも頼むよ? せめてシャルルだけは助けてやれないか?」
俺も清二と一緒に頼んだ。
「狼君まで……」
「どうする? ラルフ……」
中立的な立場で太智が割りこんできた。
「……」
ラルフは、ホログラムの通話システムを立ち上げた。
『ラルフか……どうした?』
「指令……シャルル・デュノアはやはり『女性』でした」
ラルフはそう告げる。しかし、指令は驚く表情はせずに頷いてこういう。
『やはりそうだったか……? いやはや、こちらもつい先ほど事が済んでね?』
「何かあったのですか?」
『デュノア社の件だよ? やはり、連中は我々のことを調べようとしていたらしい。彼らは、IS委員会と陰で繋がっていたのだ。当初デュノア社は倒産寸前の状況立たされており、情報を提供すれば高額の報酬が得られると知ってIS委員会に情報提供をするため『シャルロット・デュノア』という自分の娘を男装させて学園へ送り込ませたようだ……』
「……そのシャルロット・デュノアこと、シャルル・デュノアの処分は?」
『彼女は、こちらで保護しよう? いくら私でも十五、六の少女を殺すほど冷酷なことはしたくない。当分は私の『娘』ということで引き取らせてもらう』
そう、にこやかに返す指令の映像を見て、ラルフは目を丸くした。
「え!?」
ここだけの話であるが、実はこのパリ支部の司令官はラルフの保護者でもある。孤児になった彼を、司令が拾って育て上げたため籍は司令側になるのだ。つまり、シャルルが新たに引き取られるということは……
――俺に義理の妹が来るってことかぁー!? それも、こんな男装ビッチが〜!?
「指令、僕は反対です! やはり、日本支部の孤島エリアの基地に引き取らせた方が……」
『これは命令だ。よって、私の言うことを聞きなさい? ラルフ』
「……了解しました。指令」
『時には言い方を変えてもらえないか? 命令だ』
と、上機嫌に指令は言うと、ラルフはしぶしぶと口を開けた。
「はい……父さん?」
『では、彼女を連れて帰投したまえ? あと家に帰ったらジェーンに``ただいま、母さん``と言うのも忘れるな?』
そう、お節介に言う指令にラルフはため息をついた。
「
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