第十二話「貴公子、暴かれる」
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えないんです」
理由はどうであれ、彼女のしでかしたことは大それたことだ。しかし、それ相応の事情というものがあってIS学園に入学してきたのだ。誰にも言えない内容なのだからきっと……そう考えるたびに清二は情が溢れ、悪く言えばお人好しになって彼……いや、彼女の秘密を守ることにした。
「……わかった。とりあえず、君が女の子だってことは秘密にしておくよ? それと、もし僕にできることがあれば何でも相談しな?」
「ありがとう……! 清二さん」
シャルルは、清二の救済に心から感謝した。
「……でも、このままだといずれは皆にバレるよ? 俺が直接、男側に話しておこうか?」
「大丈夫だよ? 自分で言えますから」
「そう? ただ……」
しかし、清二はシャルルに関して一つ不安なことがあった。
「ただ……何ですか?」
「……感違いならいいんだけど……あのラルフって人、何だかシャルルと居る時だけ妙に表情が違うんだ。ちょっと、怪しいなってね」
「……わかりました。気を付けておきますね?」
「じゃあ……俺も早く出るよ? こんなところで話しちゃってごめん!」
と、清二は下半身にタライを隠したまま脱衣場まで急ぎ足で出て行った。
「……」
最後に残ったシャルルは肩まで湯に沈んで酷く悩んだ。
――どうしよう? 正体が知れたのが清二さんだからよかったけど……でも、いずれはあのラルフって人にもバレちゃうだろうな? 清二さんの言う通り、やっぱりあのラルフって人、私を見る時の顔がなんとなく怖いよ……でも、やらなくちゃダメだよね? なんとしても、あの人たちが持っているISを何とかしないと!
*
翌日、清二は約束通り狼達に秘密を言わないよう黙っていてくれた。そして、一夏も今まで通りに親しくしてくれるし、ラルフという青年も相変わらずだが、それ以上の変化は見当たらない。
「ねぇ! ねぇ! ラルフさんって、狼達と仲がいいけど……どうして、あんな奴らと仲良くするの?」
休み時間にいつもラルフの元へ女子が近寄ってくるが、ラルフはニッコリと辛口な台詞で言い返す。
「……ねぇ? どうして、鎖火君達のことを嫌うんだい?」
「だって〜? アイツら下品だし女性に対して口答えが多いんだよ? 男のくせして女性の前で堂々と威張ってるんだよ?」
猫を被るように言う女子に、ラルフは一瞬表情が豹変した。
「ふぅーん……でも、もしISがこの世界から無くなったらどうなると思う?」
「どうって……そんなこと、考えたこともなかったな?」
「もし、今この世界に突然ISが消え去って、君たち女性が全員ISに乗れない状態だったら……?」
「ど、どうなるのよ?」
やや態度が変わって、彼女は恐る恐る問う。
「君らは未成年だろうが容赦なく人身売買に売られて性奴隷にされるか、虐殺されるか、のどちらかだろうね?
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