第十二話「貴公子、暴かれる」
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たよ。でも、ちょっと誰かと一緒に着替えるのはまだ慣れてないから……」
「わかってるって? 先に着替えて入ってろよ」
「うん、ごめんね?」
シャルルは、身を決して彼と共に大浴場へと向かった。
「一夏っ!!」
と、そこへ大股で不機嫌に歩いてくる箒が現れて一夏へ怒鳴るかのように声をかける。
「一夏! 私と稽古へ向かうぞ!?」
「あ、悪い! 俺、今からシャルルと一緒に大浴場へ行く予定なんだ。また、明日な?」
「なっ……何だと!? 一夏!! 最近の貴様はたるんでおるぞ!?」
更に箒は怒って一夏に迫り来る。しかし、彼女がこのような態度を取るのは今に始まったことではない。
「本当にゴメン! 明日は絶対につき合うからさ?」
そう、何とか今日のところは引き下がってもらおうとするが、箒は何だが一夏がシャルルと親しくしていることに対して妙な嫉妬が生まれてくるため、怒りが静まりそうにないのだ。
「一夏! 昨日もそのようなことを言っていなかったか!?」
「え、昨日なんて知らないぞ?」
「ならん! 今日という今日は徹底的に付き合ってもらうぞ!?」
「や、やめろよ!」
強引に引っ張ろうとする箒の手を一夏は勢いよく振り払った。
「な、何をする!? 一夏……」
「あのな、人が嫌がってるのがわからないのか?」
「な、何を言って……!」
「そんなんだから、彼氏の一人もできないんだぞ? お前は、こう見えて結構可愛い……」
「フンッ!!」
刹那、一夏の腹部を箒の上段蹴りが襲った。そんな蹴りを喰らって、一夏は鳩尾を押えて苦しみだした。
「……いてっ〜! コイツ!!」
一夏は腹を立てると、勢いよく箒の胸ぐらを掴み上げた。
「痛いじゃねぇか! 何すんだよ!?」
「な、何をそんなにムキに……」
箒は、まさか一夏がそんな行為に出るとは思わなかった。
「いやムキになるよ!? あんな上段回し蹴りをもろに喰らったら誰だってキレるわ!!」
「い、一夏……」
箒は、慌てて謝罪をしようとしたが、やはり謝る勇気がなく、そのまま一夏はシャルルを連れて大浴場まで行ってしまった。
「一夏! さっきのはちょっと酷いよ?」
「んだよ……ああやって暴力してきた奴の何処が可哀相だって言えんだよ?」
大浴場へ向かう道中、シャルルは一夏に先ほどの箒のことで抗議をしていた。
「そ、そりゃあ……手を出した箒も悪いけど……」
「それよりも、早く風呂入って温まろうぜ?」
嫌になった一夏は、話を切り上げる。
「う、うん……」
そんな彼にいつまでもしつこくすれば逆に怪しくみられと思い、シャルルは静かに頷いた。
「あ、そうか……シャルルは先に入っていろよ? 浴場もこの時間なら、がら空きだと思うから」
「そうだね。じゃあ、お先に失礼するね?」
やや抵抗があるも、シャルルは一夏
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