第二百三十二話 本能寺においてその五
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「よいな」
「畏まりました」
蘭丸も主の言葉に頷いて応えた。
「それがしもです」
「生きるのじゃ」
「必ずや」
「そのことも果たす様にな」
「生きなければ」
「ならん、思えば御主の父もそうじゃった」
森もというのだ、池田と共に信長を常に兵を率いて守っている彼も。
「生きていれこそな」
「今も、ですな」
「働いてくれている」
「死んではなりませぬか」
「人は必ず死ぬ」
信長はこのこともわかっていた、それもよく。敦盛にある人間五十年という言葉を誰よりも常に深く噛み締めているからだ。
「しかし無駄に命を捨ててもならん」
「生きる為に」
「何があろうともな」
「生きることですか」
「武士は死すべき時に死すものじゃな」
「生きるべきその時は」
「恥を忍んでもじゃ」
例えだ、そうなってもというのだ。
「生きるべきじゃ、だからよいな」
「はい、生きます」
蘭丸は信長に約束した、そしてだった。
そのことを話してだった、蘭丸は己の部屋に戻り己の仕事をはじめた。そして信長は公家達を招き茶会を開いた。
茶会には多くの都の公家達がいた、だが。
その中にだ、ある者はいなかった。
「織田殿、申し訳ないが高田殿はでおじゃる」
「そういえば公家のお歴々が揃っておりまするが」
「あの御仁だけはでおじゃる」
「おられませんな」
「何か最近特にでおじゃる」
その高田はどうかとだ、近衛はさらに話した。
「ご自身の屋敷から出られないでおじゃる」
「病でしょうか」
「いや、麿もそれまでは」
「おわかりにはですか」
「申し訳ないでおじゃるが」
「いえ、構いません」
信長は申し訳なさそうな近衛に微笑んで答えた。
「そこまでおわかりになられれば」
「いいでおじゃるか」
「お伝え頂き有り難うございます、では」
「それではでおじゃるな」
「はい、これより茶会をお楽しみ下さい」
「それがしも参上しました」
ここで利休も出て来た。
「宜しければ」
「おお、利休殿が茶を淹れてくれるでおじゃるか」
「はい」
そうさせてもらうというのだ。
「お申し入れがあれば」
「いや、麿達の方がでおじゃる」
近衛達公家衆の方がというのだ。
「是非にとお願いしたいでおじゃる」
「そう言って頂けますか」
「いや、、織田殿は数多くの茶器を持って来られたでおじゃるな」
「そのつもりです」
「では、でおじゃる」
近衛は笑顔で応えてだった、そのうえで。
彼は茶会を楽しむ為その場に入った、そこには確かに公家衆の中でも錚々たる顔触れが集まっていた。
だがやはり高田の姿はなくだ、信長は彼が持っている多くの茶器を出しつつ目を光らせていた。その彼に。
公家達がだ、驚いてこう言って来た。
「いや
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