本編
第六話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
達のような者達でしかなし得ない高度な戦いは、彼らの心を刺激した。
最初の一体が倒され、そこから先は一方的であった。サイトは、時にワルキューレが投げてくる石を全て弾き飛ばし、時に槍を持ち突撃してくるワルキューレをその槍ごと切り裂き、ワルキューレの数を減らしていった。
ワルキューレの数が減っていく度に、大きくなる歓声。一体、また一体と一刀の下に切り裂かれ、そしていつしか、操り手であるギーシュとサイトのみがその場に残った。
「流石だねサイト、やはり僕ではまだまだ届きそうにないようだ」
「まあ、鍛錬の量が違うからな。そう簡単に越される訳にはいかねぇよ。それよりまだやるか?」
「当然!」
刀の切っ先を向けられたらギーシュは、怯えることなく再び杖を振る。ワルキューレが持っていた物と同じ剣を作り出したギーシュは、杖をそっと胸ポケットに差し込み両手で剣を持った。
それを見たサイトは刀を鞘に収め、やや腰を落としすぐに抜ける体勢を取った。受け身の姿勢、完全なカウンター狙いでギーシュの動きを待った。
二人の睨み合いが続き、観客達もその時が訪れるのを固唾を飲んで見ていた。
ギーシュにとって極限の集中状態での時間感覚は何倍にも拡大して感じられていた。時間にしてものの数十秒後、一際強い風が吹いたのを合図に、ギーシュはサイトに飛びかかった。
上段の構えに向かい来るギーシュの姿は、まるで一体目のワルキューレと同じようであったが、ワルキューレとは違い滑らかで力強さがあった。
ワルキューレの時と同じように、サイトは剣が振り下ろされるその瞬間になって初めて動いた。
やはり、驚くべき速度で抜刀された刀は、ギーシュの剣を根元から切り裂き、弾き飛ばす。驚愕し、次に納得の表情を浮かべるギーシュの首に、サイトが逆手に持った刀の鞘が添えられる。
誰が見ても勝敗は明らかであった。サイトの持つ刀と鞘が逆であったならギーシュの首は飛んでいた。
「俺の勝ちだ」
「ああ、降参、僕の負けだ」
広場に沈黙が走る、観客達の視線が審判役であったタバサに集まった。
「サイトの、勝ち」
タバサが自らの杖でサイトを指し、そう宣言すると同時に、割れんばかりの歓声と拍手が広場に響き渡った。観客達は口々に賞賛の声を上げていた。
やがて観客達の興奮も収まり、一人、また一人と広場を離れていった。広場には普段と変わりない風景が戻った。
「まったく、それなりには頑張ってみたつもりだったが、まだまだだったみたいだね」
「当然でしょ、あんたがサイトに勝には十年足りないわよ」
観客達の多くは忘れていたが、これはサイトとギーシュの決闘ではなく、正式にはルイズとギーシュの決闘であった。してやった顔でギーシュの前に出たルイズは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ