本編
第六話
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た。閉塞感のある学院での珍しいイベント事に、生徒達は皆盛り上がっていた。中には賭けを始める者もいた。尤も賭けはどちらが勝つか、ではなくどれくらい保つか、であった。まさか最初から本気を出すこともないだろうであったり、いやきっと瞬殺に違いないというものだったりの声がそこらから上がっていた。
「決闘には介添え人が付き物だ、だれか介添えと審判を願えないか!」
「私が、やる」
ギーシュの呼び掛けに人垣からもみ出されるように、一人の少女が出てきた。周囲の人に比べ少しばかり幼く見える少女は自らの身長程の長さの杖で人垣を掻き分け名乗り出た。透き通るような青い髪、どこか眠たそうな顔には眼鏡を載せていた。サイトが彼女を見たときの印象は文学少女であったが、その通りに彼女は本が好きで、彼女との遭遇を望むならば彼女の私室か、図書館か、はたまた朗らかな陽気の日であったらならば、中庭の木漏れ日の下で本を読んでる姿を探すのが一番手っ取り早い、そんな少女だった。
「では、ミス・タバサに頼むとしよう。それで早速だがルールの確認だ、場所はここ、時間は今、どちらかが気絶する、あるいは戦闘不能な怪我を負う、または敗北を認める、これで決着とする。ミス・タバサ、そしてルイズとサイト、異論はないか?」
「ん。そのルールで問題は、ない」
「当然、問題なんかないわ」
「俺としてはまずここに立ってることからして問題大ありなんだが・・・」
「よろしい! 皆の同意も得られたところで、早速始めよう!」
「いや人の話聞けよ」
アホらしいと考えるサイトの内心を知ってたか知らずか、ギーシュは薔薇の花で出来た杖を振る。それに応じて、地面がの一部が隆起し、縦方向に膨らんだそれは西洋甲冑の形を取る。
「僕は貴族でありメイジ、ギーシュ・ド・グラモン、『青銅』のギーシュだ。魔法を使い、彼女達ワルキューレを使役して戦う、もう一度聞こう、異論はないな?」
ギーシュの作り出した青銅人形達、ワルキューレをかつて見たことある者達はその姿が以前と大きく異なっていることに気がついた。かつては人よりも少し大きめの姿で足と手の辺りが動く程度の、実力のあるもの達からすればまさにただの人形と呼べるものであった。しかし今のその姿は人よりやや小柄な体躯になっていた、しかしその分、可動部が圧倒的に増えていた。そしてその手にはかつては無かった武器が握られていた。槍であったり剣であったりするそれらを、ワルキューレ達はまさしく体の一部、延長上の物として軽々振るっていた。
ワルキューレ達の変容はギーシュの本気を、周囲の人達に知らしめていた。
そしてその本気を受け取った人物の一人であるサイトも、一度大きく溜め息を吐き、腰に差した刀に手を掛けた。
「分かったよ、そこまでやる気ならやっ
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