二十三話:理想の終わり
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ースの言葉にその場にいる者達が全員信じられないといった顔をする。
中でも切嗣は顔面蒼白になりながら震えているという酷いありさまだ。
そんな切嗣に変わりクロノが状況を聞き出す。
「どういうことだ。一体何が起きたんだ?」
「主が目を覚まし、管理者としてプログラムを書き換えたのだ。直に主は防衛プログラムから切り離されるだろう」
その言葉に顔を輝かせるなのはとフェイト。
遅れてやってきたユーノとアルフも同じように笑顔をのぞかせる。
しかし、衛宮切嗣だけは先ほどの方がマシだったのではないのかという表情で立ち尽くす。
「しかし、どうやって防衛プログラムを……いや、さっきの凍結魔法のダメージで一時停止していたのか」
「その通りだ。すまないが私も長く表に出ることはできない。直にこの体を防衛プログラムに明け渡すつもりだ」
「なら、八神はやての救出後に改めて封印を―――」
「ダメだ。抑えている数分間で再凍結をしろ」
はやてを救いつつ闇の書の封印が可能になったかもしれないと頬を緩ませるクロノの背にコンテンダーを突き付ける切嗣。
彼の手の平が出血していることから固有時制御を使用し近づいたことが分かる。
この期に及んでそこまでして何故娘ごと封印しようとしているのか彼以外には理解できない。
「何故だ? 八神はやても世界も救うことができる。あなたにとっても悪い話じゃないはずだ」
「防衛プログラムと切り離した後に再び封印できるという保証はない。100%でない限りは今ここで再封印することが最も安全だ」
確証がない以上は例え、99%成功するのだとしても選ばない。
それが衛宮切嗣という男の生き方だった。だが、彼は決定的な過ちを犯してしまった。
衛宮切嗣は如何なる理由であれど奇跡を起こしてはならなかった。
奇跡など起こらないと断じて救えたかもしれない人間を殺してきた男が奇跡を起こす。
それは今までの全ての犠牲に対する裏切り行為だ。
だというのに……。
「時間がないから手短に伝えておこう。切嗣、主はお前の声で起きた。主の願いはお前と話すことだ」
「何…だと? つまり、僕が―――封印を解いたというのか?」
カタカタと握る銃を震わせる切嗣。
客観的に見ればそれは間接的な結果でしかない。
だが、例え間接的であろうと結果こそが全てだ。
世界を危機にさらすという結果を他ならぬ衛宮切嗣が招いてしまったのだ。
「目覚めぬはずの主が目を覚ました。これを奇跡と呼ばずになんという。
喜べ、切嗣。お前はやっと―――奇跡を起こせたのだ」
奇跡は起きた。他ならぬ衛宮切嗣の手によって。
その言葉を最後にリインフォースは表から姿を消す。
何も彼女は切嗣を絶望に落としたかった
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