二十三話:理想の終わり
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罪があるのならばそれは自分も。だからこそ、もう一度話さなければならない。
「なあ、何とかここから出られんの? 話したい。おとんともう一回……話したい」
未だに目から涙を流しながら見つめてくる主に闇の書の意志は顔を曇らせる。
彼女は闇の書。主の願いを叶えるのが彼女の務め。
だというのに、彼女にはそれができない。
「夢の中のおとんじゃなくて、本物のおとんと話がしたいんよ」
「……無理です。ここから出てもすぐに防衛プログラムが復帰し体を支配するだけです。話をする時間などとても……」
「なら、私が何とかする。なんたって私がマスターなんやから」
柔らかい笑みを向けられて返す言葉に詰まる闇の書の意志。
彼女は気づいていない。尤も、幼い少女に気づけという方が無理な話であるのだが。
聡い彼女であっても絶望から希望に変わるという一種の興奮状態で冷静な判断ができるわけがない。
「…………」
「お願いや。これが私の心からの願い。おとんと話して、おとんを止めたい」
「……分かりました。私は闇の書、主の願いに沿うまでです」
「んー……。それや、その名前がいかんのや。もう、闇の書とか呪いの魔導書とか言ったらあかん。私が素敵な名前をあげるから」
精一杯に背伸びをして自身の頬に手を添える主に闇の書の意志は涙を流す。
自身を思ってくれる少女の優しさに。
これからはやてが男に突き付けてしまうだろう―――絶望に。
「夜天の主の名の下に新たな名前を与える。強く支えるもの。幸運の追い風、祝福のエール。
あなたの新しい名前は―――リインフォース。どうや、ええ名前やろ?」
「はい。本当に……良き名です」
跪き、新たな名を承る、リインフォース。
それは八神はやてを確かに強く支え、祝福を運ぶ追い風となるだろう。
だが、逆に衛宮切嗣の支えを砕き、絶望を叩きつける向かい風となる。
彼女は予感していた。失った者達の為に後戻りができない男が今までの在り方を否定されてしまうどこまでも明るく暗い未来を。
しかしながら、彼女はそれを主に告げない。なぜなら、例え名を貰い生まれ変わろうとも彼女の本質は主の願いを叶えるというものでしかないのだから。
「早く! 早く再凍結をしろッ! このままだと暴走するぞッ!!」
姿を現した闇の書の意志改め、リインフォースの姿に絶叫する切嗣。
このまま暴走をさせるわけにはいかなかった。
被害が出てしまえば今までの全ての犠牲が無駄になってしまう。
それだけは絶対に防がなければならない。
「少し、待ってくれ。主の管理者権限で防衛プログラムの進行に割り込みをかけている。数分程だが暴走を遅延できる」
リインフォ
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