暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
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す。しばらくの間、あーとかうーとか言って呻いていたリラは、ふと顔を上げた。

「取り引きよ」

「と、取り引き?」

「そ。あたし達がアンタ達に手を貸す代わりに、アンタ達は絶対にこの大会をイイ感じに着地させなさい」

そ、それはかなり無茶な要求では、とユウキは思わないではいられなかった。

運営体(ザスカー)からしてみれば、この大会はもう修正不可能なほどねじれている。もう運営そのものを放棄したとしてもおかしくはないほどに。

それを、あまつさえ運営される側に位置するプレイヤーが大会の行く末をコントロールするというのには、生半可な力では無理である。

いや、と。

少女は思い直す。

そうではない。今までの極大の異常事態(イレギュラー)、その元凶は全て一つの点に集約されている。

フェイバル。

あいつを倒せさえすれば、かなり遠回りで迂遠ではあるが、まだBoBを墜落ではないまでも、不時着くらいにはできるはずだ。

「わかった。でも、何か策でもあるの?」

ユウキの問いに、リラはただ不敵に笑った。

「少なくともアンタ達よりゃ弱いけど、これでも結構GGO歴も長いのよ。少しは古参(ベテラン)を信用なさい」

「……そっか、了解」

にっと笑みを返し、リラはくるりときびすを返した。

「さてと、行くわよミナ。森の中に隠した《あれ》取りに行く」

「え……え……ま、待ってよぅリラちゃ〜ん!」

すたすたと確かな足取りで遠ざかっていく(たぶん)の背中を、ミナが少々危なっかしい足取りで追う。

両者を黙って見送るしかできないユウキに、振り返りもせずに最後にミナは告げる。

「あ〜そうそう、コレはあくまで休戦だかんね。あのワケわかんないヤツ倒したら、もうあたし達は敵同士よ」

「……うん」

呟く少女の返事は届いたかどうか。

そのまま走り出すコンビの背中が次第に小さくなっていくのを見ながら、ユウキは小さく息をつく。

―――みんな、すごいなぁ。

レンは、自分は何の抵抗もできなかった《鎧》に打ち勝って見せた。

リラとミナは、自分が弱いということをきちんと理解し、それでも何かの力になろうと前を向いている。

自分だけだった。

小さいことでうじうじ悩んで、一歩でも前に進むのを恐れている。

弱く見えた。

矮小に思えた。

卑小に感じた。

―――だけど。いや、だから。

そろそろ、いい加減に歩を進まないといけない。

テオドラが言っていたではないか。考えることは自分達の役割ではない、と。人それぞれに役割があって、そして自分に与えられたのは悩むことではない。

ならば、自分の――――ユウキの役割とは何なのだろう。

そこまで
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