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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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を与えてこない。いっそ嫌悪感さえ抱かせるような、頭蓋骨の裏側を掻き毟られるような本能的な拒否感――――異物感を放っていた。
そこまで大きくはない。周囲の縮尺から考え見て、十メートルは絶対にいっていない。
だが、色が夜闇を切り裂く純白だったことから、遥か彼方からでも不自然なほどに鮮明に見えた。
山々の合間からのっそりと立ち上がった《ソレ》は、両腕をうっそりと天を仰ぐように掲げた。
一瞬の静寂。
そして。
『……ル。……アアアァァァaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』
ゴウッ!!と。
距離が開いているにも関わらず、リアルな間隙を経て《咆哮》が耳朶を揺さぶる。遠雷の雷鳴のように微かで無機質ではあるが、それゆえに生々しい感情が込められたその響きは、アバターだけではなくそれを構成する生身の身体まで竦ませた。
「……な、なに……あれ……」
普段からどもり気味なミナの言葉も、どもるというよりは単に引き攣っているように聞こえた。
だいたいおかしいのだ。
三人が今いるのは、ステージ北部の砂漠エリア。つまりあの真っ白な巨人がいる南部の山麓地帯とは真反対もいいところだ。
本大会ステージに設定されている孤島は、大会規約によれば確か直径十キロの円形。ならばあの巨人とは現実置換にして八、九キロは離れていることになる。
スナイパーライフルに付いている高倍率スコープだとしても、人型なんていう情報を現在地から得るのは困難なはずだ。
なのに。
それなのに。
分かる。解かる。判る。
わかってしまう。
どれだけの距離が離れていようとも、同じように《ソレ》は自らの存在を周囲に放っていただろう。それに足る存在感を、《ソレ》は全世界に向けて放射していた。
「――――災禍の……鎧……」
色も、形状も違う。
だけれど、かつて刃を、意思をぶつけあい、殺し合った者として《絶剣》と呼ばれた少女にははっきりと分かった。
だが、同時に。
―――レンじゃない。
風に混じって吹き付けてくる圧倒的な感情の波。だがそこにいくら目を、耳を凝らしてみても、従弟のものは見受けられなかった。
―――レンは、《災禍》に勝ったんだ……ッ!
胸の奥がカッと熱くなる。
気付けば、少女はもう一度立ち上がるための力を得ていた。
「……行くの?」
「うん」
レンが待ってる。
即答で返すユウキに、数瞬押し黙ったリラははぁ〜っと盛大な溜息を吐きつつ後頭部を掻いた。
「あーもー、大会がメチャクチャ」
「ご、ごめん……」
謝んな、という言葉はぴしゃりと言い放たれた。
鋭い眼光でこちらを一瞥した少女は、ぼりぼりと綺麗なブロンドを乱
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