6.姉ちゃんは魅力的
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た〜?!」
「比叡ちゃ〜ん! 見てたわよ〜!!」
「よかった! なら、打った甲斐がありました〜!!」
こっちに向かってそう叫ぶ比叡さんの顔は、さっきまであんなに真剣で凛々しい表情をしていた人と同じ人と思えないような、本当に朗らかで、見る人を温かい気持ちにさせるお日様のような笑顔をしていた。正直に言うと、打った時のキッとした凛々しい表情も、今の笑顔もとてもキレイで、僕の目は釘付けになっていた。
試合が終わり、一足先に家に戻ってしばらく経つと、泥だらけになった比叡さんがバット片手に帰ってくる。
「ただいま戻りましたー!! お腹すいたー!!」
大声かつ上機嫌でそう言う比叡さんの顔は、まさに無邪気な五歳児の笑顔だ。なんだか夏休みで思いっきり外で遊んで帰ってきた子供を彷彿とさせる。鼻の頭に泥汚れついてるし。
「比叡ちゃんおつかれさま〜。とりあえず先にお風呂入ってらっしゃい」
「はい! お母様!!」
時々、比叡さんと母さんの関係性が、飼い主とワンコみたいな感じに見えてくるのは気のせいだろうか……いやワンコって言うと失礼だけど……でも今の比叡さん、絶対大喜びで尻尾フリフリしてる感じだよね。
「ん? シュウくん何か言った?」
「言ってないよ?!!」
比叡さんが入浴中、僕は特にすることがないので居間でテレビを見ることにした。日曜の夕方から見るテレビといえば、僕は笑点と決めている。小田浦港での漁船の沈没を取り上げているニュースチャンネルから、ぼくは笑点のチャンネルへと変更した。よし。大喜利は今からだ。
「はわぁあ〜……お風呂気持ちよかったぁ〜……入渠完了しましたぁ〜」
大喜利が始まってしばらくして、お風呂あがりの比叡さんが、Tシャツ短パン姿で緩みきった表情をして居間に入ってきた。あの凛々しい比叡さんはどこへやら…鋭い眼差しをしていた両目もトロンとし、ほっぺたは温まったためかちょっと赤くなっている。
「お母様〜牛乳もらっていいですか?」
「冷蔵庫に入ってるわよ」
「ありがとうございまーす」
冷蔵庫そばの椅子に座る僕の前を素通りし、比叡さんは冷蔵庫のドアを開けた。僕はつい比叡さんを目で追って……
「ちょっと待てぇええええ?!」
「ひぇえ?」
「シュウどうしたの?」
「背中!! 背中丸見え!!!」
そう。ちゃんと背中の水滴を拭いてなかったせいなのか、比叡さんはTシャツが肩甲骨あたりで背中にくっついてめくれ上がっており、その分背中が丸見えになっていた。
「ひぇえええ。全然気付かなかったよ〜」
「おっちょこちょいねぇ〜比叡ちゃんアハハハハ」
「申し訳ございませんお母様〜アハハハハハ」
気づけよ姉ちゃん! 母さんも笑ってる場合じゃないだろッ!! つーか下着!!! 男の僕
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