6.姉ちゃんは魅力的
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、綺麗で、触れるだけで消えてしまいそうなほど、儚い後ろ姿だった。
「あれ? シュウくん起きてたの?」
僕が息を呑んでいたら、急に比叡さんはピコンと反応し、こちらを振り返った。その時の表情はいつもの比叡さんの元気な表情で、背中もすでに、いつもの元気が満ち溢れている比叡さんの背中だった。
「あ、うん。比叡さ……姉ちゃんはなにやってたの?」
「私は夜風にあたってただけ〜」
比叡さんにしてはうまいけど、これがウソだってのはなんとなく分かった。
「しかし……ついにシュウくんは名実共に私の弟か……ウヒヒヒヒヒ……」
失礼なッ! 比叡さんが返事してくれないからじゃないかッ!!
「シュウくんは何やってたの?」
「うん。勉強してたんだけどちょっと疲れちゃって……ココアでも飲もうかなと」
「ココア好きなんだねぇシュウくん。どんな勉強してるの?」
「受験勉強。今は歴史の勉強してるの。近代史の勉強をしてるんだけど、中々覚えてないことが多くて苦労してるんだよね……」
僕は比叡さんと会話をしながらココアを淹れるべく、牛乳を火にかけた。自分のカップを戸棚から出し、比叡さんのカップも出して比叡さんに見せると、お日様のような笑顔で目を輝かせたので、比叡さんの分も作ることにした。まぁ毎度のことだ。
「そっか〜。歴史の勉強ってどんなことしてるの?」
「んーとね、日本の歴史なんだけど、戦前から戦後ぐらいまでかな?」
「戦前? 何戦争の前なの?」
「太平洋戦争」
「たいへ……?」
「知らない? アメリカと日本が戦った……」
「ぁあ〜大東亜戦争のことか。私、大東亜戦争の頃のことならある程度は分かるよ!」
これはあとで知ったことなのだけど、戦時中、太平洋戦争のことを日本人は大東亜戦争と呼んでいたのだとか。太平洋戦争より大東亜戦争の呼び名のほうが馴染み深いって、比叡さんって何者なんだろう……?
その後二人分のココアを淹れ、一つを比叡さんに渡した。比叡さんはホクホク顔でココアをすすり始め……
「あっちゃちゃちゃ……」
期待通りココアの熱さで舌を火傷したのか、舌を出してパタパタ仰いでいた。芸人レベルだなこりゃ……。
そしてココアを飲みながら、僕は自室から社会の問題集を持ってきて、ちょっと比叡さんに手伝ってもらおう……というか比叡さんが近代史に詳しいというのが今一信じられなくて、ちょっと色々問題を解いてみてもらおうと思った。
「それでは、問題を出します。ででんっ」
「気合! 入れて!!」
「シィー!! 姉ちゃん、夜中だからシィー!!」
「しょぼーん……気合〜入れて〜……しょぼーん……」
ちくしょう。いちいち芸人のようなリアクションをしてくるこのクセをなんとかしてくれ。
「では第一問。
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